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    <title>孤独な音楽家の夢想</title>  
    <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/</link>  
    <description>指揮者・声楽家 / 初谷敬史のブログ</description>  
    <language>ja</language>  
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    <item> 
      <title>輝き</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#0066ff" size="3">　ふと思いたって、鏡の中に立つ僕を見た。こんなふうにまじまじと自分を見るのはいつぶりだろうか・・・。僕はある種の違和感に耐えきれず、視線を外した。・・・こんなはずではなかった。これは、ただ単に歳をとったのではない。少し太ったせいでもない。人生に疲れ、やつれているのでもない。僕はそこに、「内面の輝き」をみることができなかったのだ。「青春の輝き」というやつだ。もちろん十代のように肌がピチピチ、スベスベというわけにはいかないが、それでもこんなにも輝きを失っているとは思わなかった。<br />
</font></p>
<p><font color="#0066ff" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#0066ff" size="3">　しかしこの結果に対し、思う節がある。僕はかつて、敢えてこの選択をしたのだ。あるスタジオですれ違ったアイドルのあまりの美しさに衝撃を受け、それに感化されるようにイケメン路線、ビジュアル系？？を目指したことがあった。しかしある時、その路線をきっぱりと止めた。そして、鏡を見ないと決めた。アーティストにとって、外見などどうでもよく、問題は中身である・・・と。だから僕は、なるべく自分自身を無垢の状態に保ち、さまざまな経験を積むことによって精神そのものを磨いてきた。<br />
　それがいま、どのように現れているか分からないが、昔よりは多少「マシ」な人間になっただろうと思う。「マシ」とは、自分のスタイル＝「やり方」というものがある程度定まり、多方面において落ち着きだしていると思えることだ。このことは、僕にとってとても嬉しい。何せ、僕という人間は、不安定極まりない人間であるからだ。結局、自分に自信がないのであろう。自信がなければ、自分の立ち位置が分からない。しかし、いまはそうではない。自分の立ち位置がしっかりと分かっている。「自分にとって、そして世界にとって、何が大事で、何が大事ではないのか」・・・そうした見極めができるようになってきたのかもしれない。<br />
</font></p>
<p><font color="#0066ff" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#0066ff" size="3">　それにしても、鏡の中の僕は、まるで「ドリアン・グレイの肖像」のようであった。鏡は正直だ。いくら魔法をかけても、化粧をしても、着飾っても、自分の生きてきたことすべてを、けっして覆い隠すことはできないのだ。悪いことをしたらそれなりに、徳を積めばそれなりに・・・である。僕はいま、それを直視することができなかった。別に悪いことをしてきたわけではない。自分の顔が嫌いなわけではない。ただ・・・頭の先から足の先まで、「文化系」で統一されてしまっているのがイヤなだけだ。滝廉太郎風？？の眼鏡がいけないのかな？？・・・かつての爽やかさは何処へ・・・！！笑　今さら「爽やか青年」になろうなんて、そんな大それたことは思っていない。ただ・・・文化系一色なのはイヤだ。<br />
　・・・というわけで、テニスを始めたり、プールに通ったり、自転車をこいだり、散歩をしたりしている。それを始めるにあたり、僕はやはり「形」から入るタイプなので、スポーツ店にウキウキと出かけていって、トレーニングウェアやバッグ、シューズ、ソックスからタオルまで、お気に入りで揃えたりしている。・・・実はそれが一番楽しかったりする。笑　こんなことがいつまで続くのか分からないが、「脱・文化系」を目指し、しばらく楽しもうと思う。その先に、もう少し素敵なことが待っているような気がするから・・・。<br />
</font></p>
<p><font color="#0066ff" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#0066ff" size="3">by.初谷敬史<img alt="虹" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/026.gif" /><img alt="馬" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/314.gif" width="16" height="16" /></font></p>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11158545799.html</link>  
      <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 01:33:45 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item>
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      <description><![CDATA[<table cellspacing="0" cellpadding="0"><tbody><tr><td align="left" valign="center"><a href="http://rss.rssad.jp/rss/ad/d6dmRUWfvS7i/iQVMqIeLj7sa?type=2" target="_blank"><img alt="" style="border: 0;" border="0" src="http://rss.rssad.jp/rss/img/d6dmRUWfvS7i/iQVMqIeLj7sa?type=2&ent=a5511e3c6979c3ad2352d04ce18117fd"/></a></td></tr><tr><td align="left" valign="top" > ワコーレで今人気の神戸・阪神間デザイナーズマンションでお洒落に暮らそう </td></tr></tbody></table><div style="font-size:10px;"><span style="padding-top:5px;"><br style="display:none"/><a href="http://www.rssad.jp/trendmatch/trendmatch.html">Ads by Trend Match</a></span><br/></div><img border="0" width="1" height="1" src="http://rss.rssad.jp/rss/ibfeed/d6dmRUWfvS7i/iQVMqIeLj7sa"/>]]></description>
      <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 01:33:45 +0900</pubDate>
    </item>
    <item> 
      <title>いま、やりたいこと</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#006666" size="3">　何かを変えたい・・・という欲求があって、僕はしばらくウズウズしていた。具体的に何を？どんなふうに？と聞かれると、返答に困ってしまうのだが、現状では満足できない自分がいる。けれど、人はそう簡単に変われるものではないことも分かっている。持って生まれたもの――性質や資質は変わることはないだろうし、積み重ねてきたものだけが自分のものであり、選択してこなかったものは自分の範囲外だ。だから、「変わりたい」というのは「成長したい」ということなのだと思うのだが、今回、それだけでもないような気がする。それは、「可能性」という問題なのだと思う。<br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3">　生きていく上で、人は多くのことを選択しなければならない。この人生は一回きり、体はひとつ、歩いて行ける道は一筋だけ。当然、分かれ道があれば、どちらかに進まなければならない。もしその選択が失敗だと思っても、元に戻ってやり直すことはできない。そうした不可逆性こそ、人生の醍醐味である。それには、よく考えてもいいし、目を瞑って一か八か進んでもいいし、人に助言してもらってもいい。しかし、最後に決めるのは、やはり自分の意志である。だから、自分の人生は、自分の責任において、全うしなければならないだろう。<br />
　僕が今回思ったのは、人生において「選択してこなかったもの」への可能性である。そもそも、その時点で選択肢にあったということは、それを選択する可能性があったということに違いない。例えば、僕の名前は「敬史」だが、僕のアルバムに挟んである「名前決めの半紙」には、たくさんの名前の候補があった。他の名前が選ばれれば、当然別の人生があったことだろう。これは「阿弥陀クジ」のようなものである。どう横線を引くかで行き先が変わってしまうのだ。僕の人生ですべきこと、向かうべき方向というのは、その選択によって大きく変わるということはないだろうが、どの道を実際に行くかは、その時々の選択によるのである。・・・というように、選択肢にあがったものは、そちらを選択する可能性があったわけで、僕とまったく無関係ではない。縁あって、選択肢にあがったのである。そうであるならば、それを切り捨てず、機会あるごとに改めて取り上げてみるのもいいだろうと思った。</font></p>
<p><font color="#006666" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3">　なぜこんな話をしているのかと言えば、僕は思い切って、「テニス」を再開させたのである。「テニス」――それは、僕の青春の夢、情熱の源泉・・・であった。「テニス」という選択は、「音楽」に敗れた。高校生だった僕は、声楽の恩師に言われた――「音楽を真剣にやりたかったら、テニスをやめなさい。テニスは大人になってからでもできるから。」・・・「大人になってからでも」・・・だから、僕はテニスを再開することを夢み、時機をずっと見計らっていたのである。けれど、ブランクはとても長く、再開させるには「うん、それならやってもいい！」という自分自身のそれなりの納得がなければならなかった。しばらく考えていたが、ようやく再開させるアイデアを思いついた。・・・それは、「恥も外聞もなくテニス・スクールに通って、一からテニスを教わろう」ということだ。<br />
　僕は近所のテニス・スクールを探して、すぐに飛び込んだ。体験教室を経て、スクールに入会した。やりはじめて間もないので、仕方ないことだが、散散な状態だ。コートに立つ爽快感は、すぐに絶望へと変わった。下手クソすぎて、自分で自分がイヤになる。まず、フォアハンドのストロークが全然ダメだ。フォアハンドが満足に打てなければ、まったく面白くない。僕にとってテニスの何が面白いのかといえば、ゲームに勝つことではなくて、狙ったショットが気持ちよく打てることだ。余計な力が入らず、スポーンと抜ける感覚。・・・理想と現実は、本当に程遠い。けれど、スクールに通っていれさえすれば、生きたボールにもだんだん慣れていくだろうし、コーチによく教わって、きっと上達していくだろう・・・。<br />
　ところで、筋肉痛がひどい。テニスは全身運動なのだ・・・と、はじめて気付かされた。あんなところも、こんなところも・・・。音楽ではまったく使わない筋肉だ。特に、尻や股関節の筋肉痛はひどく、おじいちゃんのような歩き方になってしまう。・・・でも、そんな状態が、僕はとても嬉しい。眠っていた「もうひとりの自分」を呼び覚ましているように感じられるからだ。・・・僕はあの時、「もうひとりの自分」を、「いろいろな気持ち」と共に、どこか奥の方へと押し込めたのだ。自分でそっと封印をした。・・・そして、音楽へとまっしぐらに進み、自分を音楽で教化していった。音楽は、僕にいろいろなことを教えてくれた。僕は音楽によって、僕の「生きる方法」を得ることができた。ところで、選択肢から外されてしまった「もうひとりの自分」はというと・・・自然児のまま、封印されたままになっている。<br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3">　いま、僕は僕のなかに、「もうひとり」、同時に生きさせようと考えている。だから、僕はこころの封印を解いた。縄をほどいた飼い犬のように、キャッキャキャッキャと身体がとても喜んでいる。それをどう教化していくのか、いかないのか、それは分からないが、僕は「いま、やりたいと思うこと」を自分のこころに正直に、存分やってみようと思っている。たぶんそれは、「いましか、できないこと」なのだろうから・・・。<br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20120131/11/hatsugai-takashi/60/a2/j/o0800048011765757659.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-テニス・スクール" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20120131/11/hatsugai-takashi/60/a2/j/t02200132_0800048011765757659.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#006666" size="3">by.初谷敬史<img alt="テニス" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/045.gif" width="16" height="16" /></font></p>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11151080288.html</link>  
      <pubDate>Tue, 31 Jan 2012 11:49:53 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item>
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      <pubDate>Tue, 31 Jan 2012 11:49:53 +0900</pubDate>
    </item>
    <item> 
      <title>とりとめがない話</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <font color="#3333ff" size="3"><p><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20120125/16/hatsugai-takashi/79/1f/j/o0480080011754793950.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-並木道" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20120125/16/hatsugai-takashi/79/1f/j/t02200367_0480080011754793950.jpg" /></a>
 <br />
</p>
<br />
<p>　ここのところの冷え込みのせいか、年末から年始にかけて調子を崩した。調子を崩すと言っても風邪をひいたくらいのものだったが、何となくすっきりせずグズグズしていた。いつまでも直らないのは、はじめは寒さのせいだと思っていたのだが、次第にそうではないのではないかと思うようになってきた。そこですぐ医者に行かないのが悪いのだが、今回は「医者に行って薬をもらえばいい」という種のものではないのだろう・・・と思った。というのも、こうしたグズグズ感と同じようなものを、いままでにも経験しているからだ。</p>
<p><br />
　2008年の年末から2009年の新年にかけて、僕は大きく体調を崩した。このことはブログにも書いたが、さまざまな風邪をこじらせどうにもならず、人生にただ1度、本番をキャンセルしてしまった。それは僕にとって決定的なことだった。細心の注意を払っていたにも拘らず、あってはならぬことが実際に起こってしまったからだ。このことがあって、僕はようやく自分の身体というものを省みることができた。</p>
<p>　・・・その時、僕はちょうど30歳。30歳の身体というものが一体どういうものなのか、自分でもよく意識していなかったので、僕は未だ20代であるかのように錯覚し、いつまでも元気なつもりでいた。しかし実際は、当然そうではなかった。30歳は30歳でしかないのだ。年配の方からすれば、「まだ若い若い！」と笑われてしまいそうだが、僕にとって、この身体の変化は大きかったのだ。どこまで生きるのか分からないが、30歳といえば、人生の3分の1か、半分か、はたまたそれ以下か・・・。<br />
　あの時の僕は、「自暴自棄」という言葉がぴったりだった。身体がまったく思うようにならないので、精神的にも参ってしまって、よからぬことをいろいろ考えてしまっていた。「この際、いろいろなことを整理して、僕の芸術だけを突き詰めていくことにしよう・・・そのなかで、慎ましやかに暮らしていけばいい・・・」などと。僕はあの時、本当に「もうダメだ」と思っていたのだ。実際に、もうダメになっていた。身体に溜まった疲れは、寝ても取れず、日に日に具合が悪くなっていった。そんな自分にイライラしていて、仕事にも影響が出ていた。・・・僕は困り果て、根本的な解決をしようと思った――「体質改善」である。<br />
　体質改善と言っても大げさなことをしたわけではない。不足しがちな栄養素を体内に取り込むようにしただけだ。化学薬品ではなく自然食品によってである。それによって代謝がグンとアップしたように感じられる。あれほどひどかった吹き出物や口内炎などが、それ以来すっかり姿を消した。そしてまったく風邪をひかなくなった。身体が軽くなったような気がして、精神的にも余裕がでてきた。・・・僕はしばらくこれで大丈夫だろうと思った。<br />
　しかし、今年の夏に35歳になろうとしているいま、それだけではダメなようである。いま一度、身体を見直す必要があるのだ。</p>
<p><font color="#3333ff" size="3">　</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3">　僕は元来、身体は丈夫なほうだと思う。特にここぞという時、芯が揺らがない。こんな身体に産んでくれた親に、本当に感謝である。そんな身体を持っていながら、僕は身体のちょっとした変化にとても敏感だ。きっと神経が細かいのだろう。だから体調によって、その日の自分のあり方というものを、その都度決定している。そうしなければ、長い目で見て自分を保つことができないし、周りにも迷惑がかかるだろう。こうしたことは、いつも自分の身体を気遣って生きていた父親ゆずりであろうと思う。そうは言っても、僕は医者不精であって、健康診断やいろいろな数値には興味がなく、そのあたりはいい加減である。自然治癒をとことん信じていて、自分の気持ち次第で大抵どうにかなるだろう・・・などと思っている。自分ではそういうところを弁護して「自然児である」などと言い張っている。<br />
　・・・僕の性格は「生真面目」でありながら、「いい加減」だ。このふたつの性格は一見矛盾しているのだが、僕のなかではそれがうまい具合に混在している。僕は常にそのバランスを計りながら生活している。けれど、そのバランスが時々、狂うことがある。それは、身体のバランスを失った時だ。そういう時は、どうも考え方が硬直してしまって良くない。きっと自分でも生活を楽しめていないのだと思う。ブログでは、それが如実に表れているだろう・・・。ほんの少しのことでバランスを崩してしまったりして、生きていくのは本当に難しい。でも、考えようによっては、その不安定さや変化こそ、人生の面白さであるとも言えるのだが。</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3">　最近、ある飲みの席で、いろいろな人にアドヴァイスをもらった。「初谷さんは、いろいろなことに拘る性格だから、何か拘らないことをやったほうがいい」「初谷さんは、きっと長生きするでしょう」「かっこいい大人の人は、マイ・ウェイに生きているよ」・・・。ふむふむ・・・確かに・・・。僕は大抵、人の話は聞かないほうだが、この時は、いろいろ考えることがあった。<br />
　僕はいつも「物足りなさ」を感じて生きている。たぶん人はみんなそうだと思うのだが、僕の場合、そうした不満が自分にまっすぐ向いている。「僕はこんな筈ではない・・・もっともっと・・・」と。それが内なる闘志となって、僕の成長を手助けしている。それがいつまで続くのかは分からないが、行けるところまで行ってみようと思っている。それはそれで、頑張ってやっていけばいいのだけれど、それだけではきっと疲れてしまうだろう。枯れてしまうのはいいが、「涸れて」しまいそうだ。<br />
　・・・僕はもっと世界を広く見渡してみたいと思った。僕の人生を豊かにするものは、実は自分の身の回りにたくさんあるのではないか、と。・・・僕はそれからタクシー生活を改め、よく歩くようにしている。道端や商店街を見て回るのはとても楽しい。僕はきっと、しばらく自分の殻に閉じこもっていたのだろう。身体を自由に開放すると、世界のすべてをこの身で味わえるということを忘れていたかもしれない。それが自分への「物足りなさ」に繋がっていたのかもしれない・・・。<br />
</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3">　僕はこんなとりとめのない話を、ブログでたくさん書きたいと思っている。本来、ブログとはそういうものだろうし・・・。笑　僕は「生真面目」な性格なので、やはり拘ってしまうのだが、そうではない「いい加減」な性格を「良い加減」に発揮して、楽しくやっていきたいと思っているのだ。それにはやはり、いまの身体を何とかしなければならないだろう。<br />
　今年は、小さいことからでいいが、何か思い切って挑戦していきたい。積極的に世の中に出ていって、たくさん楽しみ、たくさん笑い、たくさん幸せを分かちあいたい。<br />
</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3333ff" size="3">by.初谷敬史<img alt="芽" src="http://emoji.ameba.jp/img/user/fl/float/87963.gif" /></font></p>
</font>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11145699431.html</link>  
      <pubDate>Wed, 25 Jan 2012 16:20:11 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>現音・特別音楽展2011</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#3300cc" size="3">　今年初めのコンサートは、ヴォクスマーナです。</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">　「日本現代音楽協会」の創立80周年の記念事業「特別音楽展2011」に出演します。新作初演のために、ただいま奮闘中・・・。新しいものに出会える期待と、それをこじ開ける勇気と、それを自分のものにするための努力を大切に、僕の2012年のステージが始まります。</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">　みなさん、ぜひ、お越しください！</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>現音・特別音楽展2011「</strong></font><font size="3"><font color="#3300cc"><strong>新しい音楽のカタチ」</strong></font><font color="#3300cc"><strong>軌跡と未来の2daysコンサート</strong></font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><font size="5"><strong>1月21日（土）ヴォクスマーナ精緻なる響き</strong></font>（制作：鈴木純明）</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>開演19：00　浜離宮朝日ホール・音楽ホール</strong></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">ヤニス・クセナキス：<strong>夜</strong><font size="2">（1967年）</font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">松尾祐孝：<strong>人声交響楽第1番「笙」</strong><font size="2">（2003年・日本初演）</font><font size="3">、<strong>第2番「尺八」</strong></font><font size="2">（2011年・初演）</font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">白澤道夫：<strong>opera phaze ― dio fa</strong> <font size="2">（2011年・初演）</font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">門脇治：<strong>Thee Xt as i.e. </strong>～ジョン・ダン「THE EXTASIE」による<font size="2">（2011年・初演）</font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">坪能克裕：<strong>声の伝説</strong>～ヴォーカルアンサンブルのために～<font size="2">（2011年・初演）</font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">ヘルムート・ラッヘンマン：<strong>慰めⅡ</strong><font size="2">（1968年・日本初演）</font></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>出演：ヴォクスマーナ</strong></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>Sop.　稲村麻衣子、神谷美貴子、花嶋千香代、廣橋英枝</strong></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>Alt.　入澤希誉、高橋ちはる、中川遊子、矢ケ部直子</strong></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>Ten.　金沢青児、清見卓、富本泰成、初谷敬史</strong></font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><strong>Bas.　小野慶介、櫻井元希、深瀬廉、松井永太郎</strong></font></p>
<p><strong><font color="#3300cc" size="3">指揮　西川竜太</font></strong></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20120113/01/hatsugai-takashi/51/1b/j/o0744105211731774989.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-日本現代音楽協会" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20120113/01/hatsugai-takashi/51/1b/j/t02200311_0744105211731774989.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#3300cc" size="3">by.初谷敬史</font></p>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11134329404.html</link>  
      <pubDate>Fri, 13 Jan 2012 01:11:09 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item>
      <title><![CDATA[PR: 風邪ひいた？]]></title>
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      <description><![CDATA[<table cellspacing="0" cellpadding="0"><tbody><tr><td align="left" valign="center"><a href="http://rss.rssad.jp/rss/ad/d6dmRUWfvS7i/p1nvzUvo1YBO?type=2" target="_blank"><img alt="" style="border: 0;" border="0" src="http://rss.rssad.jp/rss/img/d6dmRUWfvS7i/p1nvzUvo1YBO?type=3&ent=80855e38d761a9a72985a06c1ab677f1"/></a></td></tr><tr><td align="left" valign="top" > 朝飲めば昼飲まなくても大丈夫！新コンタックかぜ総合 </td></tr></tbody></table><div style="font-size:10px;"><span style="padding-top:5px;"><br style="display:none"/><a href="http://www.rssad.jp/trendmatch/trendmatch.html">Ads by Trend Match</a></span><br/></div>]]></description>
      <pubDate>Fri, 13 Jan 2012 01:11:09 +0900</pubDate>
    </item>
    <item> 
      <title>2012年</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#0033cc" size="6"><strong>明けましておめでとうございます。</strong></font></p>
<p><font color="#0033cc" size="6"><strong>今年もよろしくお願いします。</strong></font></p>
<p><font color="#0033cc" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20120106/23/hatsugai-takashi/ed/7c/j/o0800048011720119260.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-2012年" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20120106/23/hatsugai-takashi/ed/7c/j/t02200132_0800048011720119260.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#0033cc" size="3"><strong><br />
</strong></font></p>
<p><font color="#0033cc" size="3"><strong>どんな一年になるのかワクワクします。</strong></font></p>
<p><font color="#0033cc" size="3"><strong>うまくいくことばかりではないと思うけれど、足元をしっかりとみつめ、自分を信じ、頑張っていこうと思います。</strong></font></p>
<p><font color="#0033cc" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#0033cc" size="3">by.初谷敬史<img alt="晴れ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/022.gif" width="16" height="16" /><img alt="男の子" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/159.gif" width="16" height="16" /></font></p>
<br />
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11128720545.html</link>  
      <pubDate>Fri, 06 Jan 2012 23:11:30 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>スイスの旅・完</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#003399" size="3">（承前）</font></p>
<p><strong><font color="#003399" size="3"><br />
</font></strong></p>
<p><font color="#003399" size="3"><strong>12月1日（木）</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　<strong>ルツェルン</strong>は、旅の締めくくりにふさわしく、清楚で明るく、美しい街だった。それは文化、そして歴史であって、ここに住んできた人びとの「こころいき」が反映されている。僕は朝霧のなかで、それを快く噛みしめていた。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　<strong>・・・ここの人びとをそうさせているのは、きっとこの濃霧のせいだろう。霧はすべてを覆い包み、そして迷わせる。</strong>この迷いが人間にとってとても大切なのだ。世界はすべて、謎に包まれている。誰ひとりとして全体を見渡すことはできない。そうであるならば、精神は、己の内へ内へと掘り下げていくしかない。だからこそ、人は奢ることなく、慎ましく、すてきな人生を送ることができるのだろう・・・。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　この霧は、甲骨文字のような形の<strong>「フィアヴァルトシュテッター湖（四森州湖）」</strong>から上がってくる。そして、水辺の白鳥も、湖船も、古い橋も、天をさす教会も、見張りの城壁も、ルツェルンのすべてを覆い隠してしまうだろう・・・。見えるものといえば、湖を囲む森と、遠くの<strong>「リギ山」</strong>と<strong>「ピラトゥス山」</strong>のとがった頭だけだ。</font></p>
<font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/e3/7d/j/o0800048011707365750.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ルツェルン・２" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/e3/7d/j/t02200132_0800048011707365750.jpg" /></a>
 <br />
<br />
　ここは中央スイス――スイス発祥の地と言われている。フィアヴァルトシュテッター湖を東に渡ると<strong>「リュトリ」</strong>というところがある。そこの丘で、1291年、ウーリ州、シュヴィーツ州、ニトヴァルデン州の「原初三州」が、相互援助を誓う「永久同盟」を結んだ。それは、この地を支配していたハプスブルグ家に対抗して、自由と自治を守るためのものだった。ここはヨーロッパの南北を結ぶ大動脈の要所であったため、この地域は神聖ローマ帝国の直轄地とされていた。その帝国代官であったのが、ハプスブルク家であった。</p>
<p>　・・・スイス建国には、ひとりの英雄がまつりあげられている。「弓の名人が息子の頭の上にのせたリンゴを見事に射落とした」という伝説に登場する弓の名人「ウィリアム・テル」である。シラーの戯曲『ウィリアム・テル』は、悪代官の圧政に耐えかねたウーリ出身の「テル」が代官に抵抗し、民衆の蜂起を促すというもので、このことが、スイス建国に繋がった・・・という物語だ。しかし、史実では、ウィリアム・テルは存在しなかったようだ。ハプスブルク家の圧政も実際にはさほどでもなく、原初三州の人びとは、帝国諸国の勢力バランスを政治力で巧みにあやつり、次第に自治権を獲得していったのだと言われている。<br />
　<strong>この美しい湖と、それをぐるりと取り囲む深い森は、そうした思慮深い人びとに「</strong><strong>智慧」を与えてくれたのだと思う。それは、「正しい行い」と「愛」についての静かで厳粛な言葉であったことだろう。</strong>森に育てられた魂と肉体は、湖から上がる深い霧に覆われ、その言葉を誠実に噛みしめたに違いない。それはいつしか勇猛心となり、強い結束を生んでいったのだ。</p>
<p>　・・・僕は朝霧のなかでそれを強く感じた。なぜかは分からぬが、異国のものである僕をも、その神秘が温かく包んでくれているような気がしたからだ。</p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/22/hatsugai-takashi/ac/c2/j/o0800048011707358009.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ルツェルン" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/22/hatsugai-takashi/ac/c2/j/t02200132_0800048011707358009.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　午前中は、みんなで市内観光をした。小さな街なので、半日もあれば観光は十分だ。しかし、ここがスイスのかつての首都であって、現在でもスイス第4の大都市であるとはとうてい思えないほど、本当に可愛らしく、落ち着いていて、気品のある街であった。しかし、それだけではなかった。<br />
　はじめに訪れたところはルツェルンの別の顔を見せてくれた。<strong>「氷河公園」</strong>の傍らにある<strong>「ライオン記念碑（瀕死のライオン像）」</strong>である。葉のすっかり落ちた木立の先に、小さな池があった。濁った池には色とりどりの枯れ葉が溜まっている。・・・山を削ってつくったほこらに、一匹のライオンが倒れ、寂しく、じっと佇んでいた。この寂しさは、スイス人にとっての悲しい過去――「傭兵制度」を物語っているのだ。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　この「傭兵制度」は、スイスの国を維持存続させるために発達したものだそうだ。・・・国土の狭さに加え、人口が増加し、なお且つ産業も育たなかったスイスにおいて、これは仕方のないことだった。スイスが近隣諸国に誇れるものと言えば、唯一、連戦連勝を続けてきたスイス兵の優秀さだった。こうした理由において、スイス兵は「傭兵」として、外国に出稼ぎにいった。スイスという国は、人間の「血」を売ることで、「食糧」を手にしていたのだ。しかしこのことは、近隣の大国にとっても都合がよかった・・・とも言えよう。小国スイスが「中立政策」をとっていたため、近隣諸国は他の国に関係なく、スイスの優秀な「傭兵」を容易に手に入れることができたからである。そこには、別々の国に雇われたスイス人傭兵同士が他国の地で戦い、共に死んでいった・・・という悲しい歴史がある。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ライオンはわき腹に槍を受け、いまにも死にそうである。それでもその姿からは、主君に忠誠を誓い、力ある限り戦いつづけようという意志が感じられる。・・・この像は、「フランス革命」で、ルイ16世とマリーアントワネットを最後まで守って全滅した、スイス傭兵786人の慰霊碑である。<br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/22/hatsugai-takashi/42/73/j/o0480080011707351123.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-瀕死のライオン" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/22/hatsugai-takashi/42/73/j/t02200367_0480080011707351123.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　それから僕らは歩いて、8世紀に建立されたベネディクト会修道院<strong>「ホーフ教会」</strong>、ヨーロッパ最古の屋根付き木橋<strong>「カペル橋」</strong>、優美で可憐な<strong>「イエズス教会」</strong>、もうひとつの木橋<strong>「シュプロイヤー橋」</strong>を回った。そして<strong>「ロイス川」</strong>を再び渡り<strong>「旧市街」</strong>へ。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　旧市街は石畳の道が迷路のように入り組んでいて、小さな商店がひしめきあっていた。古い建物の外壁には、フレスコ画で街の歴史などが描かれており、何とも美しいものだった。路地に入ると小さな広場がいくつもあり、ここでかつて行われていただろう「直接民主制」の議会の様子をうかがい知ることができた。</font></p>
<font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/d2/c9/j/o0800048011707369927.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-カペル橋" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/d2/c9/j/t02200132_0800048011707369927.jpg" /></a>
 <br />
<br />
　観光の最後は、街はずれにあるヨーロッパ最大といわれる<strong>「交通博物館」</strong>にいった。・・・僕は実は、すこしも興味がなかった。どちらかといえば馬鹿にしていたのだ。しかし、それが、行ってみると面白い・・・。</p>
<p>　広大な敷地に3000点を超えるというコレクションが置いてある。置いてあるといっても、それはスポーツカーやクラシックカー、蒸気機関車、登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ、船舶、飛行機、ヘリコプター・・・などであって、陶器や絵画といった美術品とはまったくスケールが違う。しかも、マルチメディアを駆使したシュミレーション・システムなど、さまざまなハイテク・アトラクションが用意されている。特に僕が興奮したのは、飛行機のコーナーだった。僕はもともとパイロットになりたかったぐらいだから、実際に目の前にたくさんの種の飛行機があるのを見ると、子供のように嬉しくなってしまう・・・。アニメに出てきそうな可愛いプロペラ機から大型旅客機まで、あんなにも多くの飛行機を見たのは初めてだった。</p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/aa/1a/j/o0800048011707409669.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-交通博物館" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/aa/1a/j/t02200132_0800048011707409669.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　午後は、ゆっくりとランチを食べ、後はひとりで街へ繰り出した。観光はもう十分だったので、残りの時間を別の目的についやすことにした。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕は旧市街へ出かけ、街を隈なく散策し、物色していた。・・・<strong>そう、お土産を探している――腕時計だ。</strong>驚いたことに、「街中、時計店」と言っても大げさでないほど、多くの時計店が並んでいた。それぞれの店に入ると、店中に「売るほど？！」時計がある。しかし僕は、時計について詳しいわけでもない。値段やデザインもまちまちであるし、どのブランドがよいのかさえも分からない。・・・街中を歩き回ったのだが、これといって決め手がなく、僕はほんとうに困り果ててしまった。あまりにも数がありすぎてしまうのだ。しかも困ったことに、気にいったデザインがなかなかないときている。いいと思うものは、残念ながらかなり高価なのである。<br />
　・・・僕はもう一度、原点に戻り、探し直した――僕の好みや価格の問題もあるが、もらう人にぴったりと合いそうなものでなければならない・・・。僕は、その人の顔や雰囲気を思い出して探してみた。すると、自ずと選択肢は絞られていった。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　とある店に入り、僕は数ある中でようやく「これだ！」というものを探し当てた。けれど、それでも決めかねていたので、店員さんに思い切って声をかけた――「これを見せてください。」・・・優しそうな婦人は、ショーケースからそれを丁寧に取りだした。僕は腕に巻きつけてみたり、照明にかざしたりして、しばらく悩んでいた。婦人は見かねて僕を助けてくれた――「それは、恋人へのプレゼントなの？」――「いいえ・・・僕の母にです！」・・・婦人の表情がいっきに緩んだ――「それは、すばらしいわ！お母さまにだったら、これは間違いなく最高のものよ！きっと喜ぶと思うわ！」・・・僕は婦人に微笑み返し、嬉しくなって彼女の腕にそれを巻いてみた。僕は頭のなかで、婦人の顔を母の顔に取り替えてみたのだ――「よし！決めた！」・・・それから僕は、もうひとつのショーケースを指差した――「それも見せてもらってもいいですか？」――「こっちはどなたへのプレゼント？」――「これは、僕の姉にです！」・・・婦人はにっこりとほほ笑み、それを丁寧に取りだした――「それは、ほんとうに素敵なことね！大丈夫！これも間違いなく、お姉さまにとって最高のものよ！」<br />
　僕は婦人のお陰で、とても納得して買うことができた。もしかしたら、まんまと彼女の商法に乗せられてしまったのかもしれないが、それでもいい。僕は「僕がこれを買うという裏付け」が欲しかったのだ。・・・<strong>やはり、「共感」してくれる人がほしい。ひとりでは、けっきょく何も決めることはできないのだ。</strong>人生、右も左も分からない。「これがいい」と僕が思えば、「これがいい」と言ってくれる人が傍にいてくれるということは、その結果が例えどうであろうとも、人生にとってこの上なく素晴らしいことなのだと思う。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/7c/e2/j/o0800048011707375867.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ルツェルン・３" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/7c/e2/j/t02200132_0800048011707375867.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　夜は、三枝さんのアイデアで、遊びに来た参加者全員で食事をした。「最後ぐらいみんなで一緒に食べよう！」と言うのだ。・・・<strong>「フレンシスコ教会」</strong>の裏手にある老舗スイス・レストランに行って、伝統のスイス料理を食べてみんなで盛り上がった。いい気分になって、みんなでホテルに帰ってきた。<br />
　その後、もう少し飲もうというので、元気な人たち数名でバーに飲みに出かけた。・・・ひとり減り、ふたり減り・・・それでも気分がよく、三枝さんが僕に「もう一杯やろう！」というので、夜も遅くになっていたが、僕は残った。三枝さんと僕のふたり、薄明かりのカウンターで強いウィスキーを飲んだ。酔っぱらっていたので何を話したかよく覚えていないが、旅の最後に、</font><font color="#003399" size="3">ふたりで、とても美味しいお酒を「祝杯」とばかり何杯も飲んだ気がする・・・。<br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/e1/f0/j/o0800048011707385598.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ライトアップしたイエズス教会" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111231/23/hatsugai-takashi/e1/f0/j/t02200132_0800048011707385598.jpg" /></a>
 </font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="6"><strong>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">by.初谷敬史</font></p>
</font></font>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11123078764.html</link>  
      <pubDate>Sat, 31 Dec 2011 22:53:41 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>スイスの旅・７</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#003399" size="3">（承前）</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><strong>11月30日（水）</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　睡眠は確実に足りていない。たぶん、みんなもそうだろう。・・・だって、あんなに上手くいった本番は、ロクダンにとって初めてだったからだ。成功させるためにあまりにも精根使い果たしてしまったので、僕は舞台の後片付けや、打ち上げの体力がもう残っていなかった。しかし、そこまでは演奏会の一環なので、僕は最後まで僕の役目を果たした。<br />
　「役目」とは、神さま仏さまから、ひとりひとりに授けられるものだろうと思う。これをプロテスタントでは「天職」と説明する。僕の場合、もう少し幅を持たせて「役目」と言っている。・・・これは、誰でもできるものではなく、この世でひとり、「僕」だけに与えられたものである。しかもそれは、僕が望んだものではない。自分の意志に関係なく、もう生まれた時に、神さま仏さまに決められてしまっているものであろう。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ここのところがぼんやりとしていて、自分でもよく分からないのだが、これは「職業」と関係ないように思われる。<strong>何の職業であっても、僕の「役目」は、世界にとって変わらないような気がするからだ。・・・僕はそれが何なのか、よく分かっているつもりだ――これが僕の「歩む道」なのだ、と。</strong>だから僕は、それを喜んでこの身に引き受けている。僕が「生きていく」ということは、この世で僕に与えられたその「役目」を、一生懸命に果たすことなのである。<br />
　しかし「道」は、遠くまで見渡せるものではない。一寸先は闇で、目の前にあるひとつひとつのことしか、自分からは見ることができない。だから、「今の自分は果たしてこれでいいのだろうか・・・」と、不安や焦りといったものが、自分を苦しめることになる。そうして、ジタバタしたり、見栄を張ったり、自分に嘘をついたりしてしまう。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕はガツガツした人を見るのがとても嫌いだ。がむしゃらに何かをこの手に掴もう・・・と、野心のよく見える人だ。それで、たとえ幸運にもそれを掴んだとしても、それは身の丈に合わず、とても空虚な人生を送ることになるだろう。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　・・・僕の生きているスタンスは、基本的には「果報は寝て待て」である。もちろん野心がないと言ったら嘘になる。だから、闘志を内に秘め、じっとしている。そうして、とにかくジタバタせず、一生懸命に善いことを積んでいくと、その先に僕にしかできない次の「役目」が用意されているのだ。<br />
　けれど、僕は最近思うのだ――<strong>人が生きていくなかでとても大切だと思うことは、自分のすぐ周りにいる人を大切にし、幸せにしてあげることだ、と。</strong>イエスの言った「隣人を愛せ」である。隣人に自らを捧げるのだ。困っていれば、いっしょに困ってあげ、苦しんでいれば、いっしょに苦しんであげる。もちろん笑っていれば、いっしょに笑ってあげる。・・・僕にはそれしかできない。そうしたなかに、自ずと自分の「役目」というものが見えてくる。自分が必要とされているところに歩んでいき、そこで自分にしかできないことをするだけ・・・。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　バスはレマン湖畔を回り、首都<strong>「ベルン」</strong>を通って行った。僕の首は、道のカーブに合わせ大きく揺れている。バスの前の席では、何かの話に盛り上がっているような気もしたが、僕はそうした話題には無関心であったし、何よりも眠かった。熟睡とうたた寝が規則的に繰り返されていた。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　・・・ロクダンは昨夜の公演を大成功に終え、合唱団本体は今朝、成田へと揚々と飛び立っていった。今バスに乗っている僕らは、「せっかくスイスまで来たのだから、少し足をのばして遊んで行こう！」という、少々お気楽な人たちである。笑　その中には、急遽、三枝さんも加わることになった。・・・そうだ！公演も上手くいったのだし、ご褒美とばかり少し遊ぶことなしに、過酷な年末を心身ともに保つのはむずかしい。けれど、遊びには鉄則がある――「仕事以上に一生懸命に！」である。<br />
　今日は山に上る。冬山の<strong>「アルプス」</strong>だ。上るといっても「登る」のではなく「上る」のだ。そうはいっても、冬山は過酷だ。しかも標高が並ではない。みんなの足手まといにだけはなってはいけない。だから、僕はしっかりバスで睡眠をとり準備することが先決だった。旅行前の僕の計画は、ロクダンの公演が大成功に終わって、快い気分でジュネーブからスイス中部への景色の移ろいでもゆっくり眺めながら、午前中のバス・ドライブをひとり楽しもうと考えていた。でも、ぜんぜんダメだった。予定がすっかり狂ってしまった。ロクダンの公演が、予想に反し、成功し過ぎてしまったからだ。笑　</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕は睡眠をとらなくてはならない。車窓の景色どころではない。そんな中、やっとのことで目をこじ開けて景色を見たのは、<strong>「トゥーン湖」</strong>あたりの素晴らしい景色・・・。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　バスはゆっくりと止まり、バックでどこかに駐車した。<strong>「グリンデルヴァルト」</strong>に着いたのだった。僕は防寒をして、バスを降りた。思ったより寒くはなかったが、ピリリとした特別な空気に一気に目が覚めた。ここは『魔の山』に登場する「ダヴォス」ではないが、この空気はきっと肺結核に利くだろうと思った。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　村は、一筋の細い道の両脇に建物を配しているだけの、とても簡素なところだった。例年はスキー客でいっぱいのこの時期、今年は100年に一度といわれる暖冬で、山には雪がないらしく、村はとても閑散としていた。・・・圧巻だったのは、そびえたつ岩山<strong>「アイガー（3970m）」</strong>が、すぐそこに迫っていたことだ。こんな様は、日本では絶対に見られない。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ここ「グリンデルヴァルト」は、古くから多くの登山家に愛されてきた村だ。日本人登山家の多くもここを起点に、2000メートル近くも垂直にそそり立っているという難攻不落のねずみ色の巨大な壁<strong>「アイガー北壁」</strong>に挑んだ。僕らは雄大な「アイガー」を仰ぎ見ながら、レストランに入った。</font></p>
<font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/66/a9/j/o0800048011699626328.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-グリンデルヴァルト" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/66/a9/j/t02200132_0800048011699626328.jpg" /></a>
 <br />
<strong>◆「グリンデルヴァルト」から見る「アイガー」</strong></p>
<p><br />
　簡素な食事で腹ごしらえをし、景気付けにワインを少し飲んでから、僕らは<strong>「グリンデルヴァルト駅（1067m）」</strong>から登山鉄道<strong>「ヴェンゲンアルプ鉄道（WAB）」</strong>に飛び乗った。僕たちは本日最終の列車に乗った。列車は、谷底の駅<strong>「グルント駅（944m）」</strong>で一度停車し、進行方向を逆向きに変え、再び山を登りだした。それから30分、一気に「クライネ・シャイデック駅」まで登る。</p>
<p>　噂通り、山には本当に雪がなく、見渡す限り斜面は枯草が広がっていた。一面雪のゲレンデとなっているはずだが、これではスキー客が来るはずがない。これが春や夏の時期ならば、雪山をバックに、高山植物の色とりどりの花々が咲き乱れ、斜面を埋め尽くしているだろう。・・・花の絨毯に山小屋（シャレー）が点在し、アルプスの銀峰からカウベルやアルプホルンの音が心地よく、牛や羊が戯れる、まさに「ハイジ」の世界そのものだろう。車窓から景色を眺めていると、そんな夢のような光景が目に浮かんでくる。僕は静かにそんなことを夢想していた。</p>
<p>　さっきよりも、かなり標高が高くなってきている。反対に目をやると、下界に広がるパノラマは、遠くに見える山々がおりなす光と影の美しいラインと、モミの木の美しいまだら模様とが大きな牛の背のようで、それは見事なものだった。</p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　列車は<strong>「クライネ・シャイデック駅（2061m）」</strong>に到着した。僕らはここで鉄道を乗りかえる。いよいよ<strong>「ユングフラウ鉄道（JB）」</strong>に乗る。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　・・・この鉄道はすごいのだ。何がすごいのかと言えば、この鉄道は観光のためだけにつくられ、ヨーロッパの最高峰地点まで鉄道を通したことだ。16年の歳月をかけて固い岩盤や永久凍土と戦い、「アイガー」「メンヒ」の胎内に急勾配のトンネルを掘った。最高勾配は250パーミルで、この数値は、日本の登山鉄道の最高勾配の約3倍といわれるほどだ。着工は何と1895年（明治28年）だというから驚きだ。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　車両はとても小さかった。それもそうである。全線の4分の3は、トンネルの中なのだ。「ラック式」といわれる鉄道で、2本のレールの中央に歯型のレールを敷き、列車の歯車と噛み合わせて登っていく。しかも、開業当初から「電気機関車」を利用していた。それは「蒸気機関車」では煙が出るために、トンネル内を走るのが難しかったからだ。このように、車両は機能的につくられている。座席も、観光用にボックス・シートであり、雄大な景色を眺められるよう窓も大きくつくられていた。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕は、生まれて初めて登山鉄道に乗る。勾配がきつくけっこう重力がかかるもので、進行方向に向かって座るとシートに強く押さえつけられるようで、逆向きに座ると、前のめりになってしまって姿勢を保つのが大変だ。</font></p>
<font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/98/fb/j/o0480080011699626330.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ユングフラウ鉄道" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/98/fb/j/t02200367_0480080011699626330.jpg" /></a>
 <br />
<strong>◆「ユングフラウ鉄道」と「アイガー北壁」</strong></p>
<p><br />
　視界はすぐに開け、<strong>「ベルナー・オーバーラント」</strong>の三名山<strong>「アイガー（3970m）」</strong>、<strong>「メンヒ（4107m）」</strong>、<strong>「ユングフラウ（4158m）」</strong>が見えた。これから「ユングフラウ」の北麓である鉄道の終点「ユングフラウヨッホ」まで登る。</p>
<p>　山が近づき、「アイガー」の懐に入っていく。長いトンネルの中、<strong>「アイガーヴァント駅（2865m）」</strong>と<strong>「アイスメーア駅（3160m）」</strong>で途中下車。駅といっても外に出られるわけではない。ここは「アイガー」の内部である。岩が掘られたままのむき出しになっていて、壁にガラスが埋め込まれている。展望台になっているその窓からは、氷河を真上から覗くことができる。出来たばかりの氷河の成長の様子や表情がよく見てとれる。クレバスだ・・・怪しげな青色を光らせ、何かを飲み込むようにパックリと口を開けている。まるで生きているようで、恐ろしく感じられた。</p>
<p>　・・・そういえば、僕はさっきから少し様子がおかしい。頭がクラクラして、足元がおぼつかない。まっすぐ歩いているようで、歩けていないようだ。頭痛はないが、耳が聞き取りにくい気がする。さっきの白ワインで酔いが回っているのではなく、これが「高山病」というやつだろう・・・。一気に富士山のてっぺんまで行くようなものなので、身体が気圧の変化や低酸素状態に耐えられないのだ。「いよいよ、きたか・・・」と思ったが、「睡眠は足りていて、体力も十分にある」と自分に信じ込ませ、気持ちを強く持つことに徹した。</p>
</font><font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/62/4b/j/o0800048011699626329.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-メンヒ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/62/4b/j/t02200132_0800048011699626329.jpg" width="220" height="132" /></a>
 <br />
<strong>◆「メンヒ」</strong></p>
<br />
<p><font color="#003399" size="3">　終点<strong>「ユングフラウヨッホ駅（3454m）」</strong>に到着。僕らはまっさきに、<strong>「スフィンクス・テラス（3571m）」</strong>と呼ばれる展望台に高速エレベーターで上った。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　外に出ると360度の大パノラマ――遠くの山々はかすみ、雲は遥か下にある。僕らは本当にラッキーだ。悪天候の続くこの地で、今日はどこまでも青空が広がっている。ここは、アルプスの奥座敷。眼下には、全長22キロメートルとヨーロッパ最長を誇る<strong>「アレッチ氷河」</strong>が広がっている。・・・その流れは透き通るように清らかで、人の侵入を拒んでいるかのように美しい。まるで祈りの大広間のようである。修道士「メンヒ」は気高くそそり立ち、深い青空をバックに目前に迫っている。乙女「ユングフラウ」はまばゆい太陽の光を身にまとい、まるで僕に清らな姿を見られるのを隠しているかのようだ。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　・・・きっと、ここなのだ。僕は恍惚とその神秘の世界に浸っていた。僕は高山病で頭がぼんやりしているのではない。僕はここに、神の世界をたしかに見たのだ。気は完全に鎮まっている。すべてのものは超越的なバランスのうえに成り立ち、絶対的な緊張感によって世界が構成されている。音もなく、時は止まり、永遠へと静かに開かれている。移ろうのは、神が現わす光と影である。深い精神性は、その姿そのものの内にある。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕は息をのみ、その静けさを全身で感じていた。カラスはさっきから、僕のことをよく見ている。彼らはここの賢き番人なのであろう。僕は彼らに丁寧に挨拶をし、ここを離れた。</font></p>
<font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/91/37/j/o0800048011699631344.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-アレッチ氷河・１" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/91/37/j/t02200132_0800048011699631344.jpg" width="220" height="132" /></a>
 <br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/f0/02/j/o0800048011699631346.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-アレッチ氷河・２" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/f0/02/j/t02200132_0800048011699631346.jpg" width="220" height="132" /></a>
 <br />
<strong>◆「アレッチ氷河」</strong><strong><br />
</strong><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/16/hatsugai-takashi/10/b3/j/o0800048011699772391.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ユングフラウ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/16/hatsugai-takashi/10/b3/j/t02200132_0800048011699772391.jpg" /></a>
 <br />
<strong>◆「ユングフラウ」</strong></p>
<br />
<p>　それから、<strong>「氷の宮殿」</strong>と呼ばれる氷河の内部をくり抜いてつくったギャラリーにいった。そして、<strong>「プラトー」</strong>と呼ばれる展望台で、「ユングフラウ」の雪の上を歩いた。・・・かなりの距離を歩いたことになるだろう。僕の気力と体力は限界にきていた。高山病ということもあるだろうが、その時は分からなかったが、実は、僕の感じた「神の世界」で、僕はかなり体力を消耗してしまったようだった。何か不思議な力が存在し、あそこでは自己を保つことが難しいように思える。</p>
<p>　きっと「精神」と「時」とは、相反する存在なのだ。引き裂かれた自己は、けっしてあそこから帰ってくることはできないだろうと思った。だからこそ、人はここに憧れるのだ。自己の限界に挑戦し、神に出会うために・・・。</p>
<p>　僕は山を下りる前に、売店で熱いココアを買って飲んだ。五臓六腑にしみわたり、すぐに全身に血がめぐった。僕ははじめて自己を取り戻すことが少しできたと感じた。「体温とは、自己である」と、僕はここで学んだ。<br />
<font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/6e/bf/j/o0800048011699634838.jpg"><strong><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-スフィンクス・テラス" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/6e/bf/j/t02200132_0800048011699634838.jpg" /></strong></a>
 <strong><br />
◆「プラトー」から見る「スフィンクス・テラス」</strong></font></p>
<br />
<p><font color="#003399" size="3">　「ユングフラウ鉄道」に乗ると、もう、夕方になっていた。青空は昼から夜への無限のグラデーションに変化していた。銀峰はその空を映し、美しく色づいている。麓の森はすっかり暗くなり、山小屋に人は火を灯しはじめた。孤高の月は、高みからその様子を静かに見つめている。・・・これが、山と人の自然のあるべき姿であろう。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕はいよいよ血がめぐり、意識が正常に回復してきた。僕はどうかしていたのだ。正直、ホッとした。・・・肉体に生きる僕は、けっきょく地上で生きていくしかないのだ。僕にはこの世で果たすべき「役目」があり、僕の周りのみんなを幸せにしなければならない。・・・まだまだ、僕のやるべきことは終わっていない。僕の「歩む道」は、これからも続いていくことだろう・・・。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/46/ab/j/o0800048011699634839.jpg"><strong><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-アルプスの夕暮れ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111228/15/hatsugai-takashi/46/ab/j/t02200132_0800048011699634839.jpg" /></strong></a>
 <strong><br />
</strong><br />
　もう辺りはすっかり暗くなっていた。僕らはバスに乗り、最終目的地「ルツェルン」へと向かった。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・つづく・・・</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">by.初谷敬史</font></p>
</font></font></font>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11119544800.html</link>  
      <pubDate>Wed, 28 Dec 2011 15:01:29 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>スイスの旅・６</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#003399" size="3">（承前）</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ホテルの部屋に戻り、当然のように僕は服を全部脱いだ。たぶん、「脱ぎ捨てる」という動詞が、この状況に一番近いものだと思う。そして、おもむろにシャワーを浴びた。・・・僕にとって「シャワー」とは、特別な意味を持っている。とても原始的で表面的な手段ではあるが、「いつものこと」ながら、僕はシャワーを浴びずにはいられなかった。<strong>・・・僕にまとわりつく幽かな重み――僕はそれを、愛着を込めて密かに「静電気」と呼んでいる。</strong>それは、世界のわずかな歪みから生まれてくる。そのものには悪意はないが、わずかの隙間からすうと入り込み、そしてすこし悪さをする。だから、僕はことあるたびにシャワーを浴びずにはいられない。奥にひどくこびりつかなければ、たいていはそれらを十分に洗い流すことができる。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕は今日、間違いなく大丈夫だと思っていたが、ホテルに戻る寸前にすっかりやられてしまった。しかし、いつもよりは大分マシだった。たぶん、僕のこころの持ちようが違うからだろう。僕は多少、マシな人間になってきたのだ。・・・僕は静電気をすっかり落としきると、ベッドに横になってすこし眠った。自然に目が覚めたとき、僕は赤ちゃんのような無垢の身体になっていた。・・・これで、今日の本番は万全だ。僕はいつものように声の調子を確かめ、ベッドから起き上がった。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
　いつになく時間に余裕があったので、僕はクローゼットに吊るしてあった燕尾服を取り出し、ゆっくりと着替えた。いつもの本番ならば、開演のギリギリになって着替えをはじめるのだが、今日は違った。こころが平らで、本番だからといって気負うところがまったくなかったのだ。集合時間よりもはやく準備が整ってしまったので、ロビーのソファーにでも座って待っていようと、下におりていった。やはり、まだ誰も来ていなかったので、ふと思いたって、燕尾服のまま、近くのスーパーに飲み物を買いにいった。・・・僕のなかで、時間がゆっくり流れていた。時間の長さについての感じ方は、生きている年数に反比例するようであるが、僕の無垢の身体は、新たに経験する事象を、幼子のように繊細に感じ取っているようだった。<br />
　僕はバスにいよいよ乗り込み、仲間にほほ笑んだ。18：30、バスは「ヴィクトリア・ホール」に向けて出発した。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ホールに着くと、衣装に着替えたロクダンは、舞台に集合した。もう一度並びを確認し、身長と譜面台の高さを揃えた。なるべく綺麗に見えるように、いや、なるべく「上手い合唱団」に見えるように・・・である。笑　微調整にかなり時間が掛ったが、並びは素晴らしく仕上がった。そこで、記念の写真撮影。その後、日本人らしく、いちおう入退場の練習をした。「スカラ座」の合唱団などは、バラバラと舞台に入ってきて、バラバラと勝手に歌い、バラバラと語尾の子音を発音し、バラバラと退場する。それでも度肝をぬくような声を、十分にオペラ座に響かせ、聴衆を魅了する。ロクダンはどうか・・・。もしかしたら、そういうほうが[「</font><font color="#003399" size="3">ロクダンらしい」のかもしれないが、僕の指導するロクダンはそういうところで勝負をしない。きちんと揃えるところを揃える。それでも、僕の指導する他の合唱団に比べると「大味」ではあるが、<strong>音楽に対し真摯に取り組む姿勢は、ロクダン独特なものがある。ロクダンの歌には、何か不思議な魅力があるのだ・・・。</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111221/05/hatsugai-takashi/4f/86/j/o0800053411683987803.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-集合写真" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111221/05/hatsugai-takashi/4f/86/j/t02200147_0800053411683987803.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　その後、地下のリハーサル室に戻り、僕は最後の発声練習をはじめた。大きな本番前に特有の「浮足立つ」傾向が見られたので、僕は自分の声だけに集中するよう促した。それからおもむろに、ゲネプロ後に練習したア・カペラで心配な箇所を、もう一度、練習しはじめた。メンバーの中には、「もう本番前なのだから、そんな細かいことはしなくてもいい・・・」という雰囲気も見られたが、僕は敢えて、それをどうしてもやらなければならない、と思った。<br />
　・・・ここが、成功か、失敗かの境目なのである。ものごとを突き詰める意志のあるものと、突き詰められないものとの差だ。僕らは、最後まで諦めてはいけない。<strong>僕らは、この「手紙」を書いて死んでいった兵士たちに対して、そして、三枝さんの希望と熱意のこもった渾身の「音楽」に対して、最後まで真摯に取り組まなければならない。</strong>そうしたメンバーの誠実な努力が、お互いの信頼へと繋がる。信頼で結ばれたロクダンのハーモニーは、オーケストラにも、マエストロにも伝わり、きっと素晴らしい演奏の相乗効果を生むだろう。それがホールに大きな渦となって響き渡り、大きな共感を生み出すにちがいない・・・。だから、僕は最後まで諦めない。僕たちには「絶対成功」しかないのだから。いまこそ、ロクダンの底力を見せる時である。<br />
　時間になり、僕は「エイ・エイ・オー！」で合唱を送り出した。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><strong><font size="5">■六本木男声合唱団倶楽部「ジュネーヴ公演」</font><br />
11月29日（火）開演20:30　ジュネーヴ・ヴィクトリアホール<br />
三枝成彰『最後の手紙～THE LAST MESSAGE～』<br />
</strong>第1曲：フランス、第2曲：日本、第3曲：アメリカ、第4曲：ブルガリア、第5曲：ポーランド、第6曲：イタリア、第7曲：中国、第8曲：イギリス、第9曲：朝鮮、第10曲：ソビエト、第11曲：ドイツ、第12曲：トルコ、第13曲：日本、第14曲：Dona Nobis Pacem（チェロの為のレクイエムより）<br />
<strong>指揮：大友直人<br />
管弦楽：ヒューマン・ソリダリティのために編成されたオーケストラ（「スイス・ロマンド管弦楽団」メンバーによる）<br />
合唱：六本木男声合唱団倶楽部（コーラスマスター：初谷敬史）</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　20：30、客席はいっぱいになっていて、すごい熱気だった。ロクダンは並び終え、オーケストラも準備万端だ。大友マエストロと露木茂さんが、舞台に入場する。舞台はいよいよ暗くなり、譜面灯がぼんやりとともっている。僕は合唱団の要の位置、トップ・テノールの一番端にいて、第一声を出す時を、静かに待っている。・・・僕のやるべきことは自分でよく分かっている。全体の演奏にとって、何が重要で、必要なことなのか・・・。僕はここにいながら、「指揮者」のようであり、「コンサートマスター」のようであるのだ。声は絶好調であるはずだ。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　しかし、僕には心配がある。普段、指揮指導をしているため、この曲を歌うのは本当に久しぶりである。スイスに来て、オーケストラ・リハーサルもゲネプロも、いつものようにコーラスマスターとして客席で聴いていたのだから。しかも、強い声で、ハイトーンが続き、メロディを担うトップ・テノールを、ただ歌うだけでなく、僕は全体のためにうまくリードしていかなければならない。それを指揮でなく、一団員として声でするのだ。うまくリードするには、それなりに声の負担がある。いや、それなりどころではない。<strong>僕は自分の声の調子をみながら、最後まで責任をもって合唱を導いていかなければならない。やってみなければ分からないが、僕は僕の責任において、それを全うするつもりだ。</strong>・・・さあ、準備は整っている。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　マエストロが腕を動かすと、オーケストラはそれにしっかりとついていく。見事な出だしだった。露木さんがナレーションを読み始める。それに続く合唱も、出だしにかかっている。僕はたっぷりと息を吸い込み、歌いだしの歌詞にアクセントをつけた――<strong>「兵士たちが、僕を連れに来ます・・・」</strong>――力強くピタリと揃った、素晴らしい出だしだった――よし、いける！――僕は確信した。ロクダンは、見事な集中力とコンディションである。力み過ぎず、滑らかで、艶っぽい。歌詞の発音も明快で、リズム、音程、タイミングとも、よく揃っている。今日はきっとすごい演奏になる・・・僕は歌いながら、そう実感していた。おまけに、僕の声のコンディションもいいときている・・・。<br />
　1曲が終わるごとに、会場から拍手があった。とても温かい拍手だったので、僕たちは、拍手で緊張感をとぎらせることなく、しかも、いいブレイクを与えてくれた。僕たちは拍手のおかげで適当にリラックスしながら、次の楽曲への更なる意欲を掻き立てられたのだ。・・・会場が、とてもいい雰囲気だった。初演のときは長い曲だと思ったが、今日はとても快調に進んで行く。それはたぶん、それぞれを丁寧に歌い、そこここが上手くいっていると実感しながらであったので、そう感じたのかもしれない。演奏には、ほとんどミスがなかった。ミスがないどころか、内容のある素晴らしいパフォーマンスだった。マエストロも安心して指揮をしているのが分かる。合唱がうまく指揮についていっているので、マエストロは微妙に音楽を変化させながら、「いま」を大切にした心地よいテンポを刻んでいく。・・・演奏会にとって、とてもいい状態だった。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　<strong>第14曲目、『Dona Nobis Pacem（わたしたちに平和をお与えください）』</strong>を静かに終えると、深い沈黙が訪れた。客席からすすり泣くような声も聞かれた。けっして派手ではないが、こころからの温かい拍手だった。・・・本当の「平和」を胸に、死んでいった兵士たちの想いを受け継いだ、僕らの「重たいメッセージ」が、聴衆のこころの奥の奥に届いたのだ。<strong>世界の人びとが、純然たる音楽を前に、無垢の「こころ」を開き、感動を共有している。共感は、世界の幽かな歪みを修復する力をもっている。多くのものがそれによって救われ、浄化される。・・・これこそが神さまが望む、人類至高の「平和」という状態であるのだろう。<br />
</strong>　この感動の体験は、僕ら演奏家も含めて、とても親密なものだった。僕は思った――こうした感動は、ここに来た人びとによって、世界中に広がっていくだろう、と。そして彼らが、きっと平和の架け橋になってくれるに違いない、と。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111221/05/hatsugai-takashi/9d/5e/j/o0800053311683988064.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-終演" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111221/05/hatsugai-takashi/9d/5e/j/t02200147_0800053311683988064.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　打ち上げは、丘の上「旧市街」のレストランで行われた。盛り上がりをみせ、人びとが入り乱れていた。帰り際に、店の外でマエストロが僕に言った――<strong>初谷さん、本当に素晴らしかった。あれから相当、練習しましたね・・・。<br />
</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・つづく・・・</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">by.初谷敬史</font></p>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11112724226.html</link>  
      <pubDate>Wed, 21 Dec 2011 05:11:28 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>スイスの旅・５</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#003399" size="3">（承前）</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><strong>11月29日（火）</strong></font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　朝9：30からのゲネプロに間に合うように、地下のリハーサル室で発声練習を始めた。さすがに旅の疲れと、昨日の稽古の疲れが残っているようだったが、朝一なのに、声のコンディションは悪くなかった。いやむしろ、身体の疲労にかかわらず、歌うための身体ができあがっているようだった。・・・とてもありがたいことだ。やはり、今回の公演に対する意気込みが違うのかもしれない。声を聴けば、とても集中しているのがよく分かる。しかし、いくら強靭な体力と精神力をもつロクダンのメンバーでも、集中力はそう長く続くものではない。休憩なしで、この難しい大曲を歌いきることは、とても大変なことだ。だからこそ、発声練習においても、やるべきときに、しっかりとやっておくことが大事だ。メロディを担うトップ・テノールは、高音を強く出し続けなければならないので、ゲネプロで声を嗄らしてしまうことだってありえる。時間がたくさんあるわけではなかったので、僕は発声の要点をおさえ、夜の本番をみこし、ゲネプロに必要であろう声の準備をした。<br />
　その後、三枝団長と近衞忠煇さんが、みんなに挨拶をした。近衞さんは、今回の赤十字の国際会議の忙しい合間を縫って、ゲネプロに駆けつけてくれた。その表情や口調はとても穏やかで、大変な任務の最中であるとは到底思えなかった。近衞さんは、今夜の舞台で、僕らと一緒に歌う。このために、近衞さんは東京で一生懸命に練習してきた。・・・「国際赤十字」のトップが、世界187カ国の代表が聴きにくるこの舞台で、世界に向けて「平和」の歌をうたうのだ。なんて素晴らしいことなのだろう・・・。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/05/8e/j/o0800048011682682342.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-つがいの白鳥" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/05/8e/j/t02200132_0800048011682682342.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　「ゲネプロ」は、とても落ち着いていた。オーケストラはさすがだ。昨夜よりもしっかりとクオリティを上げ、ぴたりとマエストロについてくる。ロクダンも崩れるところは少なく、ゲネプロ後の微調整で、仕上がるところまで上がってきた。「合唱」として上手くまとまってきたのだ。<br />
　これはもちろん、練習の成果である。日本で、どれほど厳しい練習をしてきたのかということだ。どんなふうに練習しても、どんなに素晴らしい合唱指揮者がきたとしても、合唱は一日にしてならない。「長い時間」と「善意ある労力」が、絶対に必要なのだ。泣いても、怒っても、怠けても仕方のないこと。諦めずに、コツコツとやっていくしか方法がない。だから、仕上がってくるということは100パーセント、メンバーの努力の賜物なのである。<br />
　・・・たぶん自分たちでも、「いい感じだ」という実感があるのだろう。初演の時に比べ、演奏に「自信」も出てきたし、「余裕」も出てきた。こうした「努力」が、きっと曲に対する「愛着」へと変わり、そこから生まれる「何か」を聴衆に「訴えたい」という気持ちに必ずや繋がってくる、と僕は思っている。全身全霊でメロディに想いを乗せることのできる、声の「強さ」と「深さ」である。こうしたものを含まない声は、けっして人のこころを動かすことはできない。<strong>言葉を超え、善意の努力が世界を変える。</strong>僕たちは「合唱」を通して、己の人生を豊かにし、また世界のために、少しでも役にたちたいと思っているのである。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ゲネプロは予定よりも30分も早く終わった。その後、僕は合唱団を地下のリハーサル室に集め、「ダメだし」と「直し稽古」を1時間ばかりした。僕の楽譜は、付箋でいっぱいになっていた。僕がゲネプロで、聴き逃さなかった箇所だ。実は、合唱団にとって、この時間がとても大事なのである。メンバーは、ゲネプロが終了したので、疲れきっているわけであるが、ゲネプロは通しただけなので、上手くいっていないポイントが山積みになっている。<strong>演奏者は、上手くいかなくても先に進まなければならないので、演奏終了後に、どこがどんなふうに上手くいかなかったのか、客観的な分析を待っているのである。・・・僕はそれを、少しも聴き逃さない。</strong>そして、それらを二通りに分類する。ひとつは、もう一度演奏すれば解決するところ。もうひとつは、放っておくと更に崩れてしまう可能性のあるところ。前者は、そこを指摘することに留め、後者は、なぜそれが上手くいっていないのか原因を教える。そして、場合によっては声を出して練習をする。<br />
　ロクダンはさまざまな人が参加しているために、「合う」というのが奇跡的だ。僕の言う「さまざま」というのは、歌が「上手い」「下手」ということだ。笑　これはすこし厳しい言い方だが、芸術家である僕の基準は、それしかない。「上手い」「下手」ということが、ア・カペラの部分では、隠しようがないのだ。だから、時間をさいてもう一度、ア・カペラの音程を確かめた。これは、とても労力のいる作業だ。しかし、僕は確信している――ア・カペラを成功させ、僕の細かい手直しを受ければ、間違いなく上手くいく、と。僕はロクダンが本番で、どんな集中力をもってパフォーマンスをするのか分かっている。そして本番はかんじん要の位置に僕が入る。そうすることで全体の演奏が、グッと引き締まるのも分かっている。つまり、この稽古さえ乗りきってくれれば、大成功が待っているのだ。<br />
　この直し稽古に、三枝さんはずっと立ち合っていたわけだが、<strong>三枝さんは合唱団に「いままでにない注文」をつけた。それは、ニュアンスのことについてだ。</strong>・・・「ここはこういう気持ちで歌ってほしい」とか、「この音型はこういう感じだ」とか、細かく指導してくれた。僕は嬉しかった。ロクダンがここまでくるのに、どれだけの月日が掛ったことだろう・・・。厳しい三枝さんが、本番間近に、こういう指導をしてくれることは、いままででは考えられないことである。ロクダンにとってこれは、上手くなってきたことの証であり、記念すべき日となった。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/15/hatsugai-takashi/23/81/j/o0800048011682692860.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-市門前" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/15/hatsugai-takashi/23/81/j/t02200132_0800048011682692860.jpg" width="220" height="132" /></a>
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</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　午後は、兼ねてより決めていたとおり、ふたたび「旧市街」へとひとりで足を延ばすつもりだった。どうしても行っておかなければならないところがあったからだ。それは、昨日の午後に「半日観光」で立ち寄った<strong>ジャン・ジャック・ルソーの生家</strong>だ。昨日は閉館日だったし、ツアーで他を回らなければならなかったので、中に入れなかった。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　人びとはルソーのことを、愛着をこめて、ジャン・ジャックと呼ぶ。僕の「ブログ」のタイトルも、実はこのジャン・ジャックの白鳥のうた『孤独な散歩者の夢想』から採ったものだ。・・・ジャン・ジャックが生涯の最後に筆をとった遺言書のようなこの本が、僕は好きだ。その口調は、もう「フランス革命」のイデオローグとなったといわれる偉大な革命者ではなく、迫害から逃れ、聞きとれぬほど震える低い声でつぶやく、「不幸」で「不器用」な66歳の老人でしかない。サン・ピエール島の甘美な夢想・・・。彼が愛してやまなかった美しい土地と、そこに住む平凡な人びと・・・。彼は、自己の内部を覗き見、そこに自我を発見し、自己のあり方について模索するのだ。彼が迫害者だと思いこんでいたのは、もしかしたらジャン・ジャック自身であったのかもしれない・・・と。<strong>僕は人生のあるひと時に、彼のように「散歩」の途中でふと立ち止まり、静かに後ろを振り返ってみるのだ。そしてそれから、周囲の美しい花々や夕焼けを眺め、安堵し・・・ふたたび先の見えぬ暗闇をゆっくりと進んで行こうと思っている。</strong>『孤独な散歩者の夢想』が、ジャン・ジャックの素直な「告白」であるように、僕は僕の「ブログ」を、なるべくその時の自分に正直に書き綴っていこうと考え、このタイトルにした。<br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/cb/70/j/o0480080011682680496.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-市門" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/cb/70/j/t02200367_0480080011682680496.jpg" width="220" height="367" /></a>
 <br />
<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　良く晴れ渡った日だった。風は少し冷たかったが、澄んだ青空が広がっている。輝かしく温かい太陽の光を全身に浴びて、こころは爽やかである。「ヌーヴ広場」から城壁伝いに坂を上り、簡素な石の「市門」をくぐった。古い石畳の道はすぐに小さな十字路にぶつかる。右手にはナポレオン時代の「大砲」と、ジュネーヴの歴史を映した「モザイク画」のある「市古文書館」のピロティ「武器庫」があり、左手を曲がるとすぐにジャン・ジャックの生家がある。いかにもジュネーヴらしい薄汚れた暗い路地である。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　今日は入口の扉が開いていて、「彼」がこちらに手招きをしていた。僕は迷わず入口を入り、「彼」の後について階段を上った。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/aa/50/j/o0480080011682680495.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ジャン・ジャックの生家" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/aa/50/j/t02200367_0480080011682680495.jpg" /></a>
 <br />
<br />
　2階に上がると、部屋は開放されていて、博物館になっていた。何組か見学に来ているようだった。僕は受付の女性に挨拶し、日本語の音声ガイドを借りた。それを頼りに部屋を見て回ったが、僕の頭のなかには、その説明が一語たりとも入ってこなかった。・・・僕はここに、ジャン・ジャックの生涯の説明を聞きに来ているのではない。僕は「彼」に会いに来ただけなのだ。僕はそれでも、音声を頼りに時間をかけて見て回った。しかし、本当に言葉は空虚に流れ、まったく無意味だった。僕は音声を止めて、改めて部屋の椅子に腰かけた。・・・どれくらいの時間が経っただろうか。僕はすこし寝てしまったようだった。部屋は物音ひとつしない。見学客はもう誰もいないみたいだ。・・・僕は、静かに時を過ごした。<strong>僕ひとり、彼の原点と存在が重なっている。</strong>僕にとって、この感覚が味わえただけで十分だった。<br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/02/c2/j/o0800048011682685739.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-マルシェ通り" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/02/c2/j/t02200132_0800048011682685739.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕はひとり、ジュネーヴの街をひたすらに歩いた。目的は何もなかった。ただ、歩きたかったのだ。僕は歩かないとダメなのだ。そう、ダメになってしまう。・・・僕はどこをどう歩いたのか分からない。うらぶれた路地と、あかぬけない広場と、水の枯れた噴水と、葉を落とした木立、重苦しい繁華街・・・。僕はもうひとりの僕と対話しながら歩いていたようだ。気が付くと、何とか「ローヌ川」まで辿りついていた。太陽はもう西の空で、最後の輝きを放っている。僕のジュネーヴは、そろそろ終わりを迎える。僕の最後の散歩だ。僕は大地を踏みしめるように川辺を歩いていく。つがいの白鳥が川面を悠々と泳いでいた。僕は彼らに出会い、なぜかすこしホッとすることができた。・・・たぶん「地上でただひとりきり」になってしまったのではないと思えたからだろう。僕は彼らにやさしく話しかけたが、フランス語ではなかったので彼らには通じなかったようだ・・・。僕をチラリと横目で見て、スイスイと行ってしまった。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　僕は仕方なく、ホテルに戻った。<br />
<br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/1c/52/j/o0800048011682680494.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-ローヌ川" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111220/14/hatsugai-takashi/1c/52/j/t02200132_0800048011682680494.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・つづく・・・</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">by.初谷敬史</font></p>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11112117181.html</link>  
      <pubDate>Tue, 20 Dec 2011 14:46:38 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>スイスの旅・４</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p><font color="#003399" size="3">（承前）</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111219/03/hatsugai-takashi/bb/54/j/o0800048011680279385.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-チケット完売" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111219/03/hatsugai-takashi/bb/54/j/t02200132_0800048011680279385.jpg" /></a>
 <br />
<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　ロクダンは、夜のリハーサルの前にホールにはやめに集合し、みんなで作業をした。<strong>舞台に、合唱団用の「譜面台」と「譜面灯」そして、「踏み台」を設置するためだ。</strong>途中休憩のない演奏会であるために、2時間近く、重たい楽譜をずっと持っていなくていいように、日本から専用の「譜面台」を持ってきたので、それを舞台に組み立てた。また「譜面灯」を用意するのは、歌詞が日本語であるために、字幕を出すために、舞台を暗くするからである。<strong>「踏み台」とは何か・・・と言うと、「ロクダンが少しでも上手く聴こえるように」、背の高さを揃えようというのである。</strong>・・・これは、とても「ロクダンらしい」発想である。<br />
　ロクダンは、時に、常識では考えられないことをする。そこが面白いところだ。僕としては、いろいろな意味で、とても勉強になる。笑　僕がいままでで一番驚いたのは、ディナーショウで音楽劇をやった時に、役者が台詞を覚えられなかったので、何をしたのかというと、イヤホンをして舞台にあがったのだ。舞台裏からタイミングに合わせてプロンプを出した。その声が客席にはまる聞こえで、しかも、それでも上手く言うことができなかったのだ。あれは、けっして上手くいったとは言えないが、<strong>ロクダンは、とにかく成功させるためには、手段を選ばない。</strong>・・・それが、日本をリードしてきた人たちの「やり方」なのだろう。「成功」することが、何よりも大切なのだ。いや逆に、絶対に「失敗」してはならないことなのだ。もちろん、それは当然のことであるが、ロクダンの「絶対」は、本当の意味で「絶対」なのである。<br />
</font><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　一番高い人の身長に合わせ、それぞれの高さに合わせた専用の台をこしらえた。メンバーには190センチを超える外国人もいるので、一番背が低い人は、まるで一斗缶の上に立っているようである。この作戦は、すでにサントリーホールで実践されており、成功している。コンサートが終わった後、その「踏み台」がどこに保管してあるのかというと・・・たぶん、どこかの倉庫を借りているに違いない。つまり、お金をかけてでも、成功させなければいけないということである。</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　サントリーホールで使用した「踏み台」は、木と鉄板でこしらえた重たいものなので、空輸するのがとても大変だ。だから、どうしたのかと言うと、大金を払って輸送したのではなくて、これまた面白い発想で、問題を解決した。なんと、それを「紙」でつくったのである。本当に大丈夫なのか・・・と心配したが、「紙」は、軽いし、組み立てやすく、捨てやすい。おまけに低価格で、ある程度、強度もある。きっと外国人なら思いつかない発想だろう。「紙の国」＝日本だからこそ、生まれたアイデアだ。「折り紙」に代表されるように、日本人は、家を「木」と「竹」と「草」と「紙」でつくる人たちだ。紙の利点欠点を熟知している。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　・・・実際にその上に立ってみると、すこし不安定な感じもするが、何とか本番までもつだろう・・・。これはけっこう大変な作業だったのだが、みんなで協力して、リハーサルまでに何とか間に合った。舞台に整然と並んだのを見るのは、とても気持ちがいいものだった。しかし、一回組んだものを並び変えるのは難しい。だから僕は、舞台に組み立てる前までに、メンバーの「並び」を考えた。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　これこそ、僕の考えた「秘策」――<strong>メンバーの最適な配置について</strong>――である。100名のメンバーは決まっている。その人がどんな特性を持っていて、何が強く、何が弱いかも分かっている。・・・「合唱」は、「チームプレイ」である。チームとして、一番力が発揮できるようにすればいい。お互いが補い合い、高めあえる並びである。それは、「隣同士」、または「前後」ということも重要だが、それによって「全体」がよくならなければ意味がない。それは、客席で聴いたときに、合唱としてそれぞれの響きがうまくブレンドされて届かなければならない。僕は、ホールの特性を完璧に掴んでいる。どこの位置が一番よく響き、それぞれの場所で、ほかのパートの音がどのように聴こえてくるのか。僕はこのために、午前中のリハーサルで、ホール中を歩き、綿密な下調べをしたのだ。<br />
　・・・僕の頭のなかでは、これ以上ないという配置が完成した。僕はこういう作業をしているといつも、「まるで、戦場における指揮官のようだ」と思う。限られた「駒」と「武器」を適材適所に配置させ、戦いに臨むのである。この采配は、コーラスマスターの権利である以上に、義務であると思う。これで、まったく結果が変わってしまうことだってありうる。戦場で兵士を生かすも殺すも、指揮官しだいだ。<strong>僕が最低だと思うのは、「共倒れ」になってしまうことだ。だからこそ、強力な「芯」をつくり、たとえどんな状況になったとしても、何とかそれ一本になっても、耐え抜くことのできる陣営を整えておくことが必要だ。</strong>逆に言えば、それを軸に、すべてが回っていく。僕は遠い異国で、100名の運命の行方を任されている。僕は、誓って言う――絶対悪いようにはしないし、絶対上手くいくという確信がある、と。・・・僕の「秘策」は、必ずや的中するだろう。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　夜のリハーサルが始まった。午前中にできなかった曲を中心に、マエストロは要領よく稽古していく。・・・僕は頷いた。午前中に比べ、はるかに良くなっている。各パートが生き生きと音楽を奏でだした。タイミングや音質、音量のバランスもよく、合唱としてのまとまりもいい。これで、間違いないだろう。・・・まさに、僕の「秘策」が的中した。三枝さんもずいぶん心配していたが、これには納得の様子だった。マエストロもオーケストラも、合唱の劇的な変化に驚いている様子で、負けじと、更に素晴らしい音楽を奏でだす。<br />
　・・・音楽とは、こういうものだ。「相乗効果」の働きなのである。それが逆に働けば、「妥協の産物」となってしまう。素晴らしいプレイヤーがひとりでもいれば、周りは感化され、「もっともっと！」と競って、更なる高みを追求していく・・・という習性が、芸術家にはある。一度歯車が合えば、しめたものなのである。何をやっても上手くいくということがある。・・・今回は、まさにそれだ。</font></p>
<font color="#003399" size="3"><p><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111219/02/hatsugai-takashi/2a/3d/j/o0800048011680275117.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-リハーサル・１" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111219/02/hatsugai-takashi/2a/3d/j/t02200132_0800048011680275117.jpg" /></a>
 <br />
<br />
　それにしても、どんどんオーケストラの音楽が素晴らしくなっていく。僕は彼らをよく観察した。そこには、日本では到底考えられないような光景が広がっていた。マエストロが稽古中、音楽を止めるたびに、団員同士でさまざまな相談をしている――「ここはもっとこうした方がいいよ」、「おまえ、そこの音が違うぞ！」、「今度は、こんなふうにしてみようか！」・・・。こういうのを「モチベーションの高さ」というのだろう。これは、いつもこんなふうなのだろうか・・・。僕には分からないが、きっとオーケストラのメンバーが、この曲を気に入ってしまったのだと思う。弾くたびにどんどん良くなっていくというは、「もっと上手に、このメロディを奏でたい！」という奏者の欲求が湧いてこなければ、そうなるものではない。・・・<strong>個人個人が、いい意味で「独立」し、「自らの音楽」を「自由」に奏でている。かといって、独りよがりではなく、「合わせる」ことを知っている。ハートが熱く、常に冷静だ。<br />
</strong></p>
<br />
<p>　・・・もちろん、上手くいっていないところはたくさんあるが、いまのところはこれでいい。今日の合唱団は、とてもいい仕事をした。オーケストラに合唱の「形」がちゃんと伝わった。バランス的にも、仕上がりの片鱗が見えてきた。合唱団も、初めての環境にも慣れてきた。・・・今日ゆっくり休めば、明日のゲネプロは、もう少しいいアンサンブルができるに違いない。オーケストラも明日は、精度をもっと上げてくるだろう。きっと完成度の高い、いい演奏になる。・・・楽しみだ。</p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20111219/02/hatsugai-takashi/2d/17/j/o0800048011680274829.jpg"><img border="0" alt="孤独な音楽家の夢想-リハーサル・２" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20111219/02/hatsugai-takashi/2d/17/j/t02200132_0800048011680274829.jpg" /></a>
 <br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　リハーサルが終わったのは22：30を過ぎていた。僕らは専用バスでホテルまで帰り、仲間と共に、街へ出た。夜も遅かったので、あまり店が開いてなかった。迷った挙句、イタリアン・レストランに入った。お腹がすいていたので、炭水化物ばかり注文した。パスタに、パスタに、パスタ。そして、リゾットとピザ・・・。前祝いとばかり、もちろん美味しいワインも注文した。<br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・つづく・・・</font></p>
<p><font color="#003399" size="3"><br />
</font></p>
<p><font color="#003399" size="3">by.初谷敬史</font></p>
</font>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/hatsugai-takashi/entry-11110959262.html</link>  
      <pubDate>Mon, 19 Dec 2011 02:47:18 +0900</pubDate> 
    </item> 
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