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    <title>無料※スト重視BL小説 髑髏を掲げし者たちへ</title>  
    <link>http://ameblo.jp/blaoyama/</link>  
    <description>冒険メインですが、一部にボーイズラブ的表現があります。ジャンルは海賊×盗賊。美形強気受けです。物語毎日進行中！ 尚この作品は私青山路（あおやまみち）の完全オリジナル作品であり著作権は放棄しておりません。中学生以上推奨。改ざん・引用・複写禁※</description>  
    <language>ja</language>  
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    <item> 
      <title>作者からのお知らせ★</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p>はじめての方、こんにちは<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
<p>いつも読みにお越し頂いてる方、ありがとうございます<img alt="ドキドキ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/031.gif" width="16" height="16" /></p>
<br />
<p>ストーリーにどっぷり浸かってほしいからあえて、日記関係はつけないようにしてたのですが</p>
<p>今回は特別に書いてみました。</p>
<br />
<p>突然ですが…皆さん！！いくら小説とはいえ、全く絵が無いのは淋しく思いませんか？</p>
<p>私なら淋しいです<img alt="しょぼん" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/144.gif" width="16" height="16" /></p>
<br />
<p>なので、イラストの勉強も始めてみようかと思っています。</p>
<p>幸か不幸か、コミックスタジオというデジタル漫画を書くツールがございますヾ(＠°▽°＠)ﾉ</p>
<br />
<p>いや…旦那様がイラスト書きてぇー！と唐突に叫び、買ってきたものなんですが</p>
<p>何故か今は３Dでの脱出ゲームが作りたいと言い出し……orz</p>
<br />
<p>それまでツールをおあずけくらった子供のように指をくわえてみてたんですが、</p>
<p>もううずうずして、どうにも辛抱たまらずに　　　とびついてしまったのでしたｗｗ</p>
<br />
<p>というわけで、執筆のほう１週間程お休みして、イラストの修行して参ります♪</p>
<p>あ！でも頂いたペタは次の日には必ずお返しにうかがいますので</p>
<p>足跡がわりにもなりますし、残していっていただけると嬉しく思います<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
<br />
<p><u><font color="#810081">『髑髏を掲げし者たちへ』</font></u><br />
</p>
<p>第１話から読む→<a href="http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10538078082.html" target="_blank">旅立ち 01</a>
 </p>
<br />
<p><a href="http://peta.ameba.jp/p/addPeta.do?targetAmebaId=blaoyama&amp;guid=ON"><img alt="ペタしてね" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/decoPeta/pc/decoPeta_20.gif" width="100" height="100" /></a>
 </p>
<br />
<p>うふふ<img alt="ラブラブ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16" height="16" /></p>
<br />
<br />
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10545433277.html</link>  
      <pubDate>Wed, 26 May 2010 15:32:18 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 11</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p>ﾗﾝｷﾝｸﾞUPに協力してね<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
<p><a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img border="0" alt="無料※スト重視BL小説 髑髏を掲げし者たちへ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20100523/17/blaoyama/40/c2/g/t00800015_0080001510555252787.gif" target="_blank" />←お願い♪読む前に１日１ポチ★</a>
 </p>
<br />
<p> 第１話から読む→<a href="http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10538078082.html" target="_blank">旅立ち 01</a>
 <br />
</p>
<br />
<p><br />
</p>
記憶を頼りにリリアナの家に向かって走っていると、程なくして男達の怒鳴り合う声と、こんな下町では大変に珍しい銃声が再び聞こえた。銃は大変な高値で、持っているのは富んだ貴族か海兵の上官ぐらいなものだ。続いて、ガタイのいい男達が６人連れ立ってクライズのほうに走って来たかと思うと…身構える猶予もなく脇をものすごい速さですり抜けていった。さすがにそれには彼もあっけにとられる。<br />
<br />
<p>「あぁ？！逃げてンじゃねーよ、てめぇら！！」</p>
<br />
<p>クライズが呆然と見送っていると、その男達の追手らしき主の声がした。声の感じから若い血気盛んな青年のようだ。彼は振り返ってその声の主を確かめようとした。</p>
<br />
<p>一方、リリアナを襲った６人のならず者達を追っていたブロンドの青年もまた、この場にふさわしくない貴族風の女に驚いて思わず目を奪われた。</p>
<br />
<p>二人、意図せず視線が絡み合う。</p>
<br />
<p>（…海だ。）</p>
<br />
<p>その瞳に、そんな感想を持ったのはどちらからだったろうか。互いに一瞬、地平線の彼方に広がる海がその脳裏に掠め…青年のほうは眩しそうにその目を細めた。</p>
<br />
<p>「危ねーぞ、ねえちゃん。」</p>
<p>銃を構えたままの手をようやく下ろして、青年はクライズに話しかける。本当は「ねえちゃん」ではなく、「おにいさん」なのだが、彼がそれを知る由もない。クライズはそれに微笑でこたえた。</p>
<br />
<p>「ちょ、シリウス副船長、足早すぎ！」「絶対に煙に巻かれると思いましたよ…副船長に！」</p>
<p>ほどなく、青年の連れらしき二人連れが追いついてきて、その言葉で青年の名がシリウスだと知った。</p>
<br />
<p>「うっせぇ、俺は本当におまえらも煙に巻いて、あわよくば逃げる気だったんだ！」</p>
<p>あいつらには逃げられちまった。なんて頭をぼりぼり掻きながらぼやくシリウスの、その右手に握られた銃がクライズは気になった。</p>
<br />
<p>（あれは何だ？）</p>
<p>思案げに眉をひそめる。彼は長年の経験から十数種類の銃を見たこともあるし、自分自身使用したこともある。あまり銃を使うのは好まなかったが、ともかく自由に使える環境にはあった。が。その彼も今まで一度も目にしたことが無いような代物だ。何より弾を発射する為の火縄が無い。だからって玩具のようにも到底思えない。その銃身は見るからに本物の銀でできているし、施されている細工が半端じゃなかった。相当な値打ちものに違いない。だとすれば、考えられる結論はひとつだけ。</p>
<br />
<p>（海軍が開発した新式銃…か。）</p>
<br />
<p>確かにそういう噂が最近、流れているのは事実だ。海軍が今までの銃とは比較にならない程の武器を開発した…と。</p>
<br />
<p>だが、目の前の青年が海軍将校とは到底思えなかった。服は上も下もよれよれだし、服もさることながら、その顔も泥でうす汚れてしまっている。もっとも、その泥を落として衣装を着替えてばっちりと着こなしたなら、公爵嫡子と言っても通用しそうな美しい顔立ちはしていたが。</p>
<br />
<p>「ところで、ここであんたは何やってる？」</p>
<p>シリウスがクライズを見やり、そう訊ねる。彼もまた、供も連れず真夜中にこんな場所を歩いていた庶民らしからぬ女を不審に思っていたのだ。</p>
<br />
<p>クライズが口を開こうとしたその時、遅れて到着した最後の「客」が歓喜の声をあげた。「クライズ！！」</p>
<p>胸に飛び込んできたリリアナを、驚きつつもその腕にしっかりと抱きとめ、</p>
<p>「来てくれた、来てくれたんだねぇ！！」</p>
<p>言って、おいおいと泣き出した彼女の背中をさすってあやしながら、彼はまたかと苦笑しつつ彼女に耳打ちした。「この人達は？」シリウス達のことを聞いているのだ。</p>
<br />
<p>リリアナは、それでようやく、パッと笑顔を浮かべると説明しようと口を開く。「この人達は私を…」</p>
<p>助けてくれたんだよ。と、いいかけ、だがそれは思わぬ声に遮（さえぎ）られた。</p>
<br />
<p>「ちくしょー！せめて女はぶっころしてやらぁ！！」</p>
<br />
<p>ヒュン！何かが風を切ってこちらへ来る！一瞬でそれを悟ったクライズは、頭で思うより先に体が動いていた。リリアナを庇うように抱き込み、そのままの格好で片脚を軸にして回転し、もう一方の足で蹴り飛ばす。金属特有の澄んだ音とともに、大振りのナイフが跳ね飛ばされて地面に落ちた。</p>
<br />
<p>それを見て、立ち去ったと見せかけ物陰に隠れてふいを突いた６人だったが。慌てて逃げようとする。だが----------</p>
<br />
<p>「どうあっても死にたいらしいなぁ。」</p>
<p>すぐ背後からそう囁かれて、驚いて飛び上がった。肝を冷やすとは、まさにこんな時言うのでは無かろうか。彼らは胸に突然氷柱でも突っ込まれた気持ちになった。自分達と、やつらが居る場所とはかなりな距離なのに、いつの間に背後まで迫ったのか。そんなことおかまいなしに、銃を６人に突きつけたシリウスは言う。</p>
<br />
<p>「一度は見逃してやったが。堪忍袋の限界だ。おまえらは、ここまでだな。」</p>
<p>それに逃がすとまた、あの娘を襲いに来そうだしな。最後は独り事のように言い、男達にあらためて銃の照準を合わす。手の銃は二丁に増えていた。いつの間に…？</p>
<br />
<p>その後はまるで一瞬の悪夢のようだった。彼が両手に銃を持ちその身を翻しながら２発３発と発射すると、男達は右往左往しながらちりぢりに逃げようとしたが、その背中を驚異的な正確さで撃ち抜かれていった。銃声がきっちり６発鳴ると、後には男達の重なった屍だけが残った。</p>
<br />
<p>その様子を、クライズだけが遠目にしっかりと見ていた。リリアナ達はおそらく、夜の闇と距離もあって、銃声と弾を発射する時の火花ぐらいしか見えていなかっただろう。</p>
<br />
<p>（あの男…。）</p>
<p>はじめて見る素早い動きと銃の扱いに、久しく忘れかけた競争心が、湧き上がってくるのをクライズは感じた。恐らく彼は身軽さと銃の腕だけなら軽く自分を凌いでいる。</p>
<br />
<p>「ねえちゃん、あんた凄いなぁ。」</p>
<br />
<p>クライズの気持ちを知ってか知らずか。シリウスは歩いて戻って来ながら無邪気な子供のような顔で、彼がナイフを蹴り飛ばした時のことを褒めた。</p>
<p>それに向かい、「あのね、この人は…」</p>
<p>笑顔を取り戻したリリアナがくすくす笑いながら何か言おうとするのを手で制して、</p>
<p>「残念だったな。俺は『お兄さん』だ。」と、不機嫌そうな顔で言い返したのだった。</p>
<p><br />
&gt;&gt;12に続く<br />
<br />
</p>
<p>　<br />
</p>
<p>　　　　　　　　　　　　　　　　<font size="1">面白かったですか？ぜひ拍手を</font><img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" />　</p>
<p target="_blank">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://novel.blogmura.com/novel_bl/" target="_blank"><img border="0" alt="無料※スト重視BL小説 髑髏を掲げし者たちへ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20100524/20/blaoyama/e8/c1/g/t00800015_0080001510557078090.gif" /></a>
 <img alt="次項" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/262.gif" width="16" height="16" /><br />
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<p target="_blank">　<img alt="おにぎり" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/068.gif" width="16" height="16" /> pick up BL<img alt="ぶーぶー" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/007.gif" width="16" height="16" /><img alt="DASH!" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/178.gif" width="16" height="16" /><br />
<a href="http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=1NS8WO+BLCXDU+1XX8+BWGDT&amp;a8ejpredirect=http%3A%2F%2Fwww.suruga-ya.jp%2Fdatabase%2F145011599001.html" target="_blank"><img border="0" src="http://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/145011599m.jpg" /></a>
 <img border="0" src="http://www19.a8.net/0.gif?a8mat=1NS8WO+BLCXDU+1XX8+BWGDT" width="1" height="1" /><br />
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<p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</p>
 
</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10544515550.html</link>  
      <pubDate>Tue, 25 May 2010 14:31:35 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 10</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p>ﾗﾝｷﾝｸﾞUPに協力してね<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
<p><a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img border="0" alt="無料※スト重視BL小説 髑髏を掲げし者たちへ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20100523/17/blaoyama/40/c2/g/t00800015_0080001510555252787.gif" target="_blank" />←お願い♪読む前に１日１ポチ★</a>
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</p>
<p><br />
</p>
<p>夜明け前、海上を濃密な霧が覆い始めた頃------------<br />
<br />
</p>
<p>トルトウーガの港に停泊するレッドサーペンス号に、忍びこもうとする影が一つあった。艶やかな女装から再びならず者風な本来の格好に着替えたクライズである。</p>
<p>彼は酔っ払いを装って船へと近づき、外に出ているのが見張り台の船員一人なのを確認すると、しばらく待ったのち、その交代の時間を狙って船内へと潜り込んだ。</p>
<p>上がり板を登って通路を曲がったすぐ右に、酒樽がいくつか山積みになってることは今日の夕暮れヴァインズと下調べに来て確認済みだ。そこに息を潜めて隠れて待つ。</p>
<p>ほどなくして、見張り台の男とはまた別の、見回り当番らしい船員が一人でランタンを片手に歩いてきた。クライズは、酒樽の影から物音ひとつ立てず立ち上がると、彼の背後に回って首筋に素早く手刀を繰り出し当て身を食らわせた。</p>
<p>気を失い前に倒れこむ船員の体を支え、怪我をさせないよう気をつけながら横たえると、酒樽の影に押し込み、手馴れた手つきで身につけた衣服を剥ぎ取っていく。</p>
<br />
<p>「お互い海賊と盗賊だ。悪く思うなよ。」</p>
<p>剥ぎ取った衣装に着替えた後、下一枚という情けない姿で気を失い横たわる男に向かってそう声をかけウィンク一つ投げると、クライズは床に転がったランタンを拾いあげて懐に持った火付け石で再び火を灯し、何食わぬ顔で通路の奥へとその姿を消していった。</p>
<p><br />
<br />
　　話を少し戻そう----------</p>
<p><br />
レッドサーペンス号からの帰り道、船と港を背に、どんどん遠ざかってく馬車の中でクライズは一人、何故か不機嫌だった。</p>
<p>「なぁ、ルー？やっぱり、俺が実行したほうが…」「駄目です。」</p>
<p>言いかけた言葉を、間もおかずにぴしゃりと遮られ、その不機嫌そうな顔が更に険（けわ）しいものになる。</p>
<br />
<p>だが、クライズの言葉を遮ったヴァインズもまた、その顔は険しかった。</p>
<p>それもそのはず。この不可解な会話は、二人が馬車に乗り込んだ時からもう幾度も繰りかえされているのだ。</p>
<p>ヴァインズがようやく先に、今まで会話に出なかったことを口にした。</p>
<p>「あなたは下見と計画を立てる担当と最初から決めてあった筈。実行は別の者にやらせます。」</p>
<br />
<p>その言葉に、目だけを横に向け、切れ長の瞳で彼を流し見やりクライズが答える。</p>
<p>「俺に報酬を払ってそいつらにも払うのか？よせよせ。金がもったいねー。」</p>
<p>「私の金です。どう使おうと勝手です。」</p>
<p>とりつく島も無いとはこのことだ。更にぴしゃりと被せるように言われ、さすがのクライズも苦が笑いを浮かべずにはいられない。</p>
<br />
<p>ヴァインズが、ここまでクライズの意見に耳を貸さないのはじつに珍しいことだ。だが-----。</p>
<p>クライズのほうはクライズでまた、どうしても引けない思いというものがある。その素直な気持ちの一端を吐き出して疑問をぶつけてみることにした。「そんで、その実行犯達はそのあとどうなるんだ？」</p>
<p><br />
それに対して、相手は驚く程の沈黙で応え、何も言い返してはこなかった。ただ、その口元に彼のほうには決して向けない酷く冷たい微笑が浮かんでいるのを見つけ、クライズは自身の心もまた暗い闇へ落ちていく思いがした。</p>
<p>（やっぱり…か。）</p>
<br />
<p>ときどきヴァインズが、自分の知ってるヴァインズじゃないんじゃないかと思ってしまう瞬間がある。まさにこんな時だ。幼い日に出会った、聡明で柔軟だった『ルー』の思考は、その持って生まれた才能でクライズの教え込む知識を驚異的な早さで吸収した。そして、闇社会に溶け込むのもまた驚異的なスピードで行われた。はっきりしたことは本人も周囲も教えてはくれないが、今のクライズでさえ想像もできないような非情なことを裏で繰り返してきたのだろうと思う。けれども、その非情さが自分や自分が紹介した者達に向けられることは決して無いというのも十分過ぎる程にわかっていた。だから、とくに口を挟んではこなかったのだ。だが、それで良いのかと問われれば決して良い筈はなく…。彼の心はいまのように暗く沈む。</p>
<br />
<p>「なんて顔してるんです。」</p>
<p>ようやくクライズの表情の変化に気づいたヴァインズが、彼のほうを向いてため息をついた。殺したりなんてしませんよ。囁いて、安心させるように彼のその頬を手袋をはめたままの手で撫でた。</p>
<br />
<p>「ただ、異国には身を隠してもらいます。もちろん相応の金は渡して、ね。４～５年は遊んで暮らせるでしょう。」</p>
<p><br />
本当だろうか。その真意を読みとろうと、彼のほうに身を傾けその瞳を覗き込む。まるで…星ひとつ無い夜の闇のような、月の無い晩のような静かに見返してくる感情の見えぬ黒真珠の瞳に、クライズは自分が心ごと飲み込まれてしまうような錯覚を覚えた。</p>
<br />
<p>と。馬の嘶きがして…唐突に軽い衝撃と共に馬車が止まった。その揺れの反動で、クライズは不安定な格好でヴァインズの顔を覗き込んでいたのでそのまま彼の胸に飛び込む形となってしまった。</p>
<br />
<p>「大丈夫ですか？」</p>
<p>自分のほうに倒れこんできた、いまだ女の装いのままのクライズをその腕にしっかりと受け止め、ヴァインズは彼に向かって声をかけた後、続いて馬を操る御者台の男に向かって怒鳴った。</p>
<br />
<p>「いったい何をしている！」</p>
<br />
<p>主人に叱られ、心底震え上がった声で御者台から初老の男は答えた。</p>
<p>「申し訳ありません、ご主人様。けれども、」</p>
<br />
<p>どうにも通りの様子がおかしゅうございます。御者もまた困惑しているようで、その声に力は無い。</p>
<p>いいから進めろ、と言うヴァインズを制してクライズは馬車の中から小窓を開くと外の様子をうかがう。</p>
<br />
<p>外はすでに日も沈み、月影がうっすら射すのみの闇の中だったがクライズはとくに不便は感じない。彼は長年の</p>
<p>修練で夜の中も日中に近い視界で見渡すことができるのだから。</p>
<br />
<p>「…？」</p>
<p>まず、てっきりヴァインズの私邸に向かってると思っていたクライズは想像してたのと違う下町の風景に小首を傾げた。</p>
<br />
<p>「途中、リリアナの家に寄るよう指示を出しました。ご心配かと思いまして。」</p>
<p>クライズの様子に、その思いを汲み取ったヴァインズからすかさず言われ、無言でうなずく。礼の言葉こそ口には出さなかったが、そういった彼の聡（さと）い配慮はいつもありがたく感じている。</p>
<br />
<p>馬車の中で耳をすましていると、ほどなく道の先から銃声と喧騒（けんそう）のような声が聞こえてきた。馬を操る御者の、手綱を握る手を止めさせたのはその音だったのだろうか。</p>
<br />
<p>（待てよ…確かあっちのほうは…）</p>
<br />
<p>そう考えていると、ヴァインズの視線と目が合った。その目が暗（あん）に止（よ）せと伝えてくる。それで、自分の考えが確信に変わった。</p>
<br />
<p>次の瞬間、心で思うより先に体が馬車から飛び出していた。</p>
<br />
<p>「待ちなさい！」</p>
<br />
<p>背後でヴァインズの制止する声が聞こえたが、クライズに止まる気は無かった。せっかく一度助けたのだから、リリアナには生きていてほしいと願った。そう、ただならぬ喧騒の声が聞こえてきたのは彼女の家の方角からなのだ。</p>
<br />
<p>「まったく。ご自分の今の格好、ちゃんと理解しての行動なんでしょうね。」</p>
<p>ヴァインズは走り去っていく青いドレス姿のその背に向かって、飽きれ顔で言葉を投げつける。その口からは同時に、憂いを含んだ深いため息が吐き出された。</p>
<p><br />
</p>
<p>&gt;&gt;11に続く</p>
<br />
<p>　　　　　　　　　　　　　　　<font size="1">面白かったですか？ぜひ拍手を</font><img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" />　</p>
<p target="_blank">　　　　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://novel.blogmura.com/novel_bl/" target="_blank"><img border="0" alt="無料※スト重視BL小説 髑髏を掲げし者たちへ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20100524/20/blaoyama/e8/c1/g/t00800015_0080001510557078090.gif" /></a>
 <img alt="次項" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/262.gif" width="16" height="16" /></p>
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<img alt="おにぎり" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/068.gif" width="16" height="16" /> pick up BL<img alt="ぶーぶー" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/007.gif" width="16" height="16" /><img alt="DASH!" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/178.gif" width="16" height="16" /><br />
<a href="http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=1NS8WO+BLCXDU+1XX8+BWGDT&amp;a8ejpredirect=http%3A%2F%2Fwww.suruga-ya.jp%2Fdatabase%2FZHOMI4325.html" target="_blank"><img border="0" src="http://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/zhomi4325m.jpg" /></a>
 <img border="0" src="http://www18.a8.net/0.gif?a8mat=1NS8WO+BLCXDU+1XX8+BWGDT" width="1" height="1" /> </p>
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10543443048.html</link>  
      <pubDate>Mon, 24 May 2010 20:37:03 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 09</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p>ﾗﾝｷﾝｸﾞUPに協力してね<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
<p><a href="http://novel.blogmura.com/" target="_blank"><img border="0" alt="無料※スト重視BL小説 髑髏を掲げし者たちへ" src="http://stat.ameba.jp/user_images/20100523/17/blaoyama/40/c2/g/t00800015_0080001510555252787.gif" target="_blank" />←お願い♪読む前に１日１ポチ★</a>
 </p>
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</p>
<p>「てめぇ！」</p>
<p>突然乱入してきた優男風な青年に、ピントのずれたセリフを言われ、大男６人は一瞬ポカンとした後で鼻白らむ。</p>
<br />
<p>その様子をどこか面白そうに目を輝かせて青年は見たが…すぐに口と腹を押さえて屈みこんだ。</p>
<p>「う…、急に動いたからまた吐き気が。」</p>
<br />
<p>（だ、だめかもしんない…）</p>
<p>一瞬希望を抱きかけたリリアナだったが、盛大にゲェゲェやりだした青年を見て再び絶望的な気持ちになった。彼に感じた殺気もクライズに似てると思った面影も…きっと、助かりたいと一心に願う自分の想いが見せた幻だったのだ。げんにこちらに背を向けて屈むその姿は無防備この上なかった。</p>
<br />
<p>「なぁ、水ねーか、水。」</p>
<p>ようやく少し持ち直した青年は、大男達に向かって何かよこせ的なジェスチャーをしてみせた。</p>
<br />
<p>大男達は、顔を見合わせ。互いにニタニタと笑い出す。こいつ、弱そうな上に今の状況も全くわかってない酔っ払いだぜ。互いにその目はそう言っていた。</p>
<br />
<p>「あー…水な。」</p>
<p>大男の一人が前に進み出ながら懐から何か取り出すしぐさをする。「これならくれてやるぜ！！」</p>
<br />
<p>今までの緩慢な動きから一転、腕を俊敏に掲げると…いっきに青年の頭めがけて振り下ろした！その手から刃物の先端が放ったらしい銀色の光が閃く。</p>
<br />
<p>「ひっ！」</p>
<p>リリアナは悲鳴をあげて思わず目をつぶった。あの人殺される！！</p>
<br />
<p>だが…いつまで待っても、予想してた肉を切り裂く音も血が吹き出す音もしない。</p>
<p>彼女は、おそるおそる目を開けた。</p>
<br />
<p>「気持ち悪りぃー…」</p>
<p>青年は相変わらず屈んで口元を押さえており、刃物を青年に目掛けて振り下ろした先ほどの大男は呆然とそこに佇んでるのみだ。</p>
<br />
<p>「……」</p>
<p>リリアナの頭の中が、はてなマークでいっぱいになる。何がなんだかわからない。唯一気になる点といえば、青年と大男の居る位置がさっきより少し横にズレてる気もするが、それもとっさのことで自分が見間違えてるだけかもしれない。</p>
<br />
<p>「おいおい、何やってんだよ！」「そんな奴にかわされてんなよ！」「偶然よけるなんて、その酔っ払い運がいいなぁ」なんて後方の仲間から野次を飛ばされ、剣を振りかざしたまま棒立ちしていた大男はようやく現実に戻った。</p>
<br />
<p>（ぐ、偶然だったか…？）</p>
<p>頭の中を、さっきの一瞬の出来事が走馬灯のように浮かぶ。懐に忍ばせた剣の鞘をコートに隠して抜きながら青年に近づき、その後頭部に思いきり振り下ろした。そこまではよく覚えている…。だが、その後がどうもはっきりとしない。頭をかち割る！そう思った次の瞬間、青年の姿が目の前からパッと消えた。ありえない状況に頭が混乱してるうちに…仲間の野次でようやく我に返ったのだ。</p>
<br />
<p>「お前ら水持ってねーのか。」</p>
<p>青年は屈んだまま、ジトーっとうらめしそうに大男達を睨めつけ。そしてそこではじめてリリアナに目を向けた。</p>
<p>「ねーちゃんのほうはどうだ、ん？水持ってるか？」</p>
<br />
<p>聞かれて、とっさにリリアナはコクコクとうなずいた。</p>
<p>「家の中に水がめが…」</p>
<br />
<p>それを聞いて、青年はパァーっと表情を明るくした。「やっぱりそうか！」なんて叫びながら。「んじゃまあ、水を早く分けて貰いてぇし」助けますかねぇ。なんて独り事のように呟くと、どっこらしょっと言いながら立ち上がり</p>
<p>肩と首をﾎﾟｷﾎﾟｷっと鳴らした。ただ、そのしぐさは本心からめんどくさそうだ。</p>
<br />
<p>そして腰に下げたサーベルをぎこちない手つきで抜くと、大男達に向かって本物の騎士（ナイト）がするようなフェンシングの構えをとった。「かかってきな！」</p>
<br />
<p>大男達は、酔っ払いの、見るからに年下の青年にコケにされて本気でぷっつん来たようだ。顔を怒りで真っ赤に染めるといっせいに剣を抜き襲いかかった。</p>
<br />
<p>「ちょ…！たんま、たんま。誰が全員で来いっつったよー！」</p>
<p>さすがにそれには青年も真っ青になり、サーベル状の細身の剣を持ったまま右往左往部屋中を逃げ回る。</p>
<br />
<p>「駄目だな、からっきし腕があがってねぇ。」「ありゃ船長との猛特訓も意味ねーなぁ。」</p>
<p>なんて頭の左右で声がして、はじめて他にも人が居たことに気づいてリリアナは飛び上がった。</p>
<br />
<p>青年の連れの二人であると見てとり、やがて彼女はホーッと胸を撫で下ろす。ドアの物陰から中の様子をうかがってた二人は乱闘が始まったとほぼ同時に、彼女を守るべくそっと抜き足で来たのだった。</p>
<br />
<p>「ったく、何やってんすかー！例のモンは何処やったんですー？」「まさか置き忘れてきたなんてオチじゃないでしょうねー！」二人が青年に向かって怒鳴ると、負けない大きさで向こうも怒鳴り返してきた。大男達の剣をよけながらなのだからある意味器用だ。</p>
<br />
<p>「バーロー！アレはレッドの野郎に禁止されてんだろーが！！」</p>
<br />
<p>リリアナの左右で連れの男達は顔を見合わせる。もしかして馬鹿じゃないかとは常日頃から思っていたが、やっぱりモノホンの馬鹿だったなぁ。互いの目がそう言っていた。</p>
<br />
<p>「人助けなんだから船長は許してくれますよ！！」「この状況なら大丈夫です！！」</p>
<br />
<p>二人に同時に大丈夫だと叫び返され、逃げ惑いながら青年はキョトンとする。「え？そぉなの？」（なぁんだ、そっかぁ。）青年はにんまりと笑った。だが！</p>
<br />
<p>「危ねぇ！副船長！！」</p>
<p>話しに気にとられてたその隙に大男の剣がその首をすでに捕らえていた。</p>
<br />
<p>横殴りに一閃、剣の刃が真横に閃く。青年の首が飛んだ！部屋にいる誰もがそう思った次の瞬間…</p>
<br />
<p>キィーン…</p>
<br />
<p>そう音を立てて宙に舞ったのは大男の剣のほうだった。部屋中にきな臭い、火薬のような匂いが立ちこめた。</p>
<br />
<p>「剣なんて古臭せぇよなー、やっぱり。」</p>
<br />
<p>そう言った青年は、大男達のほうに腕を伸ばしていた。その腕の先に握られている短銃（たんじゅう）から、白い硝煙（しょうえん）がゆらゆらと立ち昇る。いつの間にどこに隠し持ち、そしてどう取り出したのか。</p>
<br />
<p>誰もがその一連の動作を捕らえることができなかった。それほどにすばやく行われたのだ。そして…その手に握られた短銃の、見たことのない造形が気になった。火縄銃（ひなわじゅう）のようだが肝心の火縄がついていない。ようやく、自分達が相手にしてるのが只者じゃないと気づいて大男達全員がその場に硬直する。</p>
<br />
<p>「さあ、仕切り直しだ。」</p>
<p>青年に楽しそうに笑ってそう言われ…。大男達の背筋を冷たいものが流れていった。</p>
<br />
<p>&gt;&gt;10に続く</p>
<br />
<br />
<p><br />
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10542614741.html</link>  
      <pubDate>Sun, 23 May 2010 12:37:05 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 08</title>  
      <description><![CDATA[<p>
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 </p>
<br />
<br />
<br />
<p>唐突に金髪の青年が立ち上がる。「水ねぇか、水。」</p>
<br />
<p>介抱するポーズを見せながら、そのじつ６人の大男と顔中包帯だらけの女が中に消えた民家のほうに気をとられてた男ふたりは、全くのふいを突かれて唖然とした。</p>
<br />
<p>（いや、この人が唐突なのはいつものことだけど。よくさっきの今で自分の欲求を満たすことばかりを考えられるもんだ。）</p>
<p>呆れて二人は肩をすくめた。</p>
<br />
<p>「ありやせんぜ。」</p>
<p>心なしか、青年にかけたその声は刺々しい。</p>
<br />
<p>「あ、そ。」</p>
<p>もういいよ、おまえら。なんて言って金髪の青年もひらひら手を振って追い払うようなしぐさをした後、あろうことかさっきの騒ぎがあった民家によたよたと千鳥足で歩き始める。</p>
<br />
<p>「あの姉ちゃんなら、水持ってるかなぁ♪」</p>
<p>口笛まで吹いて、何故か上機嫌だった。</p>
<br />
<p>その背後で、つれの男二人は顔を見合わせた。「やべぇ。この人完ぺき泥酔してる…」「どうするよ、おい。」</p>
<p>なんてボソボソ相談しあってるうちに、肝心の青年は右に左とよたつきながらもどんどん民家に近づいていく。</p>
<br />
<p>「ちょっ、副船長待ってくださいよぉ。」</p>
<p>仕方なく、二人もまた、青年の後を急いで追った。</p>
<br />
<p>男二人が追いついた頃、ちょうど青年は民家の表戸に手をかけたところだった。</p>
<p>「おっじゃましま～す♪」</p>
<p>なんてあくまでその声は陽気だ。中には誰もいなかった。キョロキョロ見回すと、部屋の２階に通じる階段を挟んだ、その奥の扉からかすかに話し声が漏れてくる。</p>
<br />
<p>「今日の昼間、俺達の連れの男をおまえら殺っちまっただろう？」「お前の仲間はどこだ？手を下した男のほうだよ。」</p>
<p>なんて矢継ぎ早に複数の男達が話している。話しかけている相手はきっと、顔に包帯を巻いたあの女だろう。続いて、その女のものと思しき声が聞こえてきた。</p>
<br />
<p>「居ません、連れなんて。殺したのは私です。」</p>
<p>その声は震えていたが、きっぱりと言い放ったその言葉にはとても強い意志があった。その仲間というのを庇っているのだろうか。</p>
<br />
<p>扉の向こうで、大男達の酒焼けしたガラガラ声が豪快に笑い飛ばす。</p>
<p>「てめぇみたいな細っこい女があいつを殺れるもんか。」「いくらなんでも、やつもそこまでもうろくはしてなかったぜぇ。」</p>
<br />
<p>続いて中で花瓶か何かを激しく割る音が聞こえてきて、女は悲鳴をあげた。</p>
<br />
<p>「言うならもっとマシな嘘をつきな！言わねぇと、その包帯だらけの顔をさらにえぐるぞ！！」</p>
<p>ドスをきかせて大男の一人が言う。</p>
<br />
<p>その声色から大男達がハッタリを言ってるんじゃないと、金髪の青年にはわかった。わかったが…</p>
<br />
<p>（見ず知らずの女を助ける必要があるのか？）</p>
<p>自分に問いかけ、首を傾げて考える。すぐに結論は出た。…答えはＮＯだ。</p>
<p>それより喉が渇いてしょうがない。この隙に…と部屋の中を水がめを探して物色しはじめた。</p>
<br />
<p>「いくら訊ねられても答えようがありません。お連れの方を殺したのは私ですから。」</p>
<p>憎く思われるなら、ひとおもいにどうか私を殺して下さい。女は静かにそう宣言した。</p>
<br />
<p>そんな言葉を漏れ聞いて、青年は足を止める。気丈な女だな。庇ってるのは恋人なのだろうが、それにしたってなかなかできることじゃない。</p>
<br />
<p>一瞬扉の向こうが静まりかえる。その後大男達の下卑た偲び笑いが漏れ聞こえてきた。</p>
<p>「もちろん殺してやるよ」「だが、その前に俺達を十分癒してもらってからだなぁ」「そうだよなぁ。顔は包帯だらけだが、体には張りがありそうだ」</p>
<p>布袋被って股を開きな。と、そんな聞くに堪えないことを言う。その異様な雰囲気から、ただ女を脅す為のハッタリでは無いのだろう。</p>
<br />
<p>息を潜めて聞いていた青年は短く舌を鳴らして眉をひそめた。表向きは仲間を殺された報復だが、こいつら露ほども悲しいとは思っていやがらねぇ。ただ憂さ晴らしに酔った勢いで喧嘩しに来たら思ったよりずっと小柄で弱々しい女が一人出てきた。これは嬲って愉しもうという腹積もりになったらしい。</p>
<br />
<p>「あなたたち…」</p>
<p>女も、大男達のその本音にようやく気づいたらしい。怒りに震えた声を発した。だが、彼女には状況を打破する手段は何もないだろう。</p>
<br />
<p>「ふ、副船長…」</p>
<p>後ろから追いついてきた手下二人が小声で自分に話しかけるのを人指し指を口に当てて制して、青年は話し声のするほうに向き直る。</p>
<br />
<p>ほどなくして、布切れを引き裂くような音と、暴れる音と、女の叫び声と。耳を覆いたくなるような音が部屋中に鳴り響く。</p>
<br />
<p>「やめて…！殺すならそれだけにして！」</p>
<p>リリアナは泣きながらそう叫んだ。本当は死ぬのももちろん嫌だ。もうすぐずっと待ち焦がれた恋人が帰ってくるし、まだやり残したことだって沢山ある。クライズやヴァインズ様にお礼だって言ってない。けれど、昼間起こったことは自分に客を見抜く技量がなかったせいだし、そのせいでクライズに消えない罪を背負わせた。せめて、潔く男達の怒りをその身一つに受けて死のうと考えた。けれど、死ぬ前に辱められその死体を大衆に晒すかと思うと話しは別だ。いくら汚れた体でも、死ぬ時ぐらいは綺麗に死なせて欲しかった。</p>
<br />
<p>「お願い…」</p>
<p>駄目だとわかってはいても、哀願せずにはいられない。だが大男達の心にはそんな悲痛な彼女の最後のわずかな祈りさえ届かないようだった。</p>
<br />
<p>大男達にリリアナが四肢を抑えつけられ、もう本当に駄目だと覚悟を決め舌を噛もうとしたまさにその時、</p>
<p>「なぁ、お兄さん達。水持ってなーい？」</p>
<p>その場の緊迫した空気をいっきにぶち壊すような、間の抜けた間延びした声で一人の青年が部屋に入ってきた。</p>
<br />
<p>リリアナは、その独特のハニーブロンドでさっき家の外で見かけた青年だと気づく。</p>
<p>思わず大男達の手を振り払うのも忘れて青年を凝視し。そして…「あ。」と小さく声をあげた。</p>
<br />
<p>さっき外で見かけた時は遠目というのもあって気がつかなかったが。そのブロンドの青年は一瞬クライズを彷彿のさせる雰囲気を持っていた。その顔の造形の美しさ故か、その口元に浮かんだ皮肉まじりの微笑故か。いや、どれも確かに似てはいるがよくよく見れば違いは一目瞭然。本当に似ているのはきっと…</p>
<br />
<p>その身に纏う血の匂い…</p>
<br />
<p>&gt;&gt;09に続く</p>
<p><br />
</p>
<br />
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10541977499.html</link>  
      <pubDate>Sat, 22 May 2010 20:10:58 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 07</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p>ﾗﾝｷﾝｸﾞUPに協力してね<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
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 </p>
<br />
<br />
<br />
<p>リリアナは、本当に久しぶりにベッドにまともに横になった気がした。ここ３ヶ月程朝も晩も働きずめだった。</p>
<p>１年ぶりの船旅から戻ってくる恋人を新しいドレスと部屋のカーテン、それに美味しい食事を用意して迎えたかったから無理をして働いていた。</p>
<p>働くことは嫌いじゃない。でも、それでも働いても働いてもお金がたまらないので時々路上に立って売春婦の真似事をする。その時だけは…体も心も痛み、耐えれないと思うこともしばしばあったが。嬉しそうな年下の恋人の笑顔を思えば我慢できないことなど何もなかった。</p>
<p>顔中を覆う包帯にそっと手で触れてみる。痛みは驚くほど無かった。ヴァインズの紹介だと言って来てくれた医者の処置の的確さと、置いていった痛み止めのおかげだろう。治療代は…闇医者にしては信じられない程の安い額しかとられなかった。ヴァインズがその辺の交渉も事前にしてくれてたのだろう。</p>
<br />
<p>（ヴァインズ様か…。）</p>
<br />
<p>リリアナは、ヴァインズとは何度か面識があったし仕事の紹介も受けたことがあるが、気難しい渋面しか見たことが無い。はっきり言って嫌われてると思ってたし、自分も彼を苦手に思っていた。彼のその瞳の冷たさに、何度ぞっとしたかしれない。だから…場末の自分みたいな女が役にたたなくなったら、すぐにボロ雑巾のように捨て置かれるだけと考えてたし、それが当然だと思ってた。なのに…。ふいに涙がツンと鼻にこみ上げてくる。</p>
<p>ヴァインズ様に頼んだのはきっとクライズだ。この界隈を一手に取り仕切る冷酷無比なヴァインズ子爵の、唯一の泣き所。それが青い瞳をしたかの有名な麗人なのは彼の下で働く者なら皆知っていた。それでも、例えクライズに頼まれたからとはいえ助けてくれた気持ちが嬉しかった。</p>
<br />
<p>（ありがとう、クライズ。ありがとう、ヴァインズ様。）</p>
<br />
<p>声にならない嗚咽がこみ上げてきて、リリアナはとうとうわんわん泣き出した。傷に障るとわかっていたが、止められなかった。そして、ひととおり涙が枯れるまで泣いたら自分のせいで死なせてしまった名も知らない人の為に祈ろうと考えた。</p>
<br />
<p>どれぐらいそうしてただろう…。ふと、外の通りの騒ぎが耳に飛び込んできた。</p>
<br />
<p>「ちょっ…副船長、そんなとこで吐かんといてくださいよぉ。」「早く戻りましょうって。きっと船長カンカンですよ！」</p>
<p>なんて複数の話し声が聞こえてくる。どうやら酔っ払いのようだった。</p>
<br />
<p>「うっせぇ。俺は今それどころじゃねぇーんだ。あぁ苦しい。おえっ」</p>
<br />
<p>（もう！汚いなぁ。）</p>
<br />
<p>声だけを聞いたのだが、状況をまともに想像してしまってなんだかリリアナまで気持ちが悪くなってしまった。どこかに早く消えて…。なんて願いながら寝返りを打ったちょうどその時、コンコンという家の表扉を叩く音がした。</p>
<br />
<p>こんな時間に誰だろう…。</p>
<br />
<p>扉を叩く音がだんだん大きくなる。</p>
<br />
<p>「こら、このアマァ！家にいるのはわかってんだ。出てこんかーっ！！」</p>
<p>聞いた事の無い声が外からそう怒鳴ったかと思うと、家の扉を激しく蹴るような音がした。蝶番がきしむ。</p>
<br />
<p>（やだ…。壊される！！）</p>
<p>リリアナはぶるぶる震えて布団の中で丸くなるしかなかった。簡単に打ち付けただけの錆（さび）だらけの蝶番（ちょうつがい）だ。すぐにドアは蹴破（けやぶ）られてしまうだろう。</p>
<br />
<p>「俺達の仲間を殺しておいて、安穏（あんのん）と寝てんじゃねぇー！！」</p>
<p>さっき怒鳴った声とは、また別の声がそう叫んだ。</p>
<br />
<p>それで…相手がなんの用件で来たのか、彼女は知った。なんとなく、そうじゃないかなと思い始めたところだった。リリアナはグスりと鼻をひとつ鳴らすと、静かに覚悟を決めてベッドから起き上がった。</p>
<br />
<p>枕もとに立てかけた、恋人の小さな肖像画に目を向ける。絵の中で、優しそうな丸顔がにっこりと笑いかけていた。</p>
<p>リリアナは彼の笑顔がとても好きだった。そう言ったら、恋人は彼も貧しいだろうに、無理をして画家から自画像を買って贈ってくれた。商船に乗って長旅に出る前のことだ。「君のもとに戻ってくるまで、僕だと思って持っていて欲しい。」それが彼が別れ際に言った言葉だった。その日以来、リリアナはずっとその絵を大切にしてきた。でも…。</p>
<br />
<p>（ごめんね。もう…私無理みたい。）</p>
<p>頑張って生きてきたけど。今度こそ無理みたい。絵にそっと告げ、彼女はベッドから立ち上がった。</p>
<br />
<p>思えばあいつの仲間が仕返しにくるかもって考えもせずに、楽観視してた自分のほうが悪いのだ。</p>
<p>ドアに辿りつくと、今にも破られそうに悲鳴を上げてるボロボロのドアがあった。蹴ってる拍子に、ドアの腐った箇所を突き破ってしまったらしい。</p>
<br />
<p>ドアの破れた板の隙間から、かなりの人数の大男が押しかけてきてるのが見てとれて、覚悟してきた筈なのに…リリアナは怖くて足がガクガクと震えた。</p>
<br />
<p>「おぉ！出てきたか。早くこのドア開けやがれ！」</p>
<p>ドアの隙間からリリアナを見てとった男の一人が、にんまりと笑った。怖い…！このまま時間が止まってしまえばいいのにと彼女は願った。だが、いつかはドアは破られ大男達がこの部屋に押しかけてくるだろう。どうせ結果が同じなら、せめて逃げずに自分から出て行きたい。</p>
<br />
<p>リリアナは唇を血が出る程強く噛み、その痛みで足の震えをなんとか押さえた。</p>
<br />
<p>「今開けます。」</p>
<p>自分で思ってたよりも、ずっとしっかりした声が出た。それに勇気づけられて、リリアナはドアを開けた。</p>
<br />
<p>大男達は全部で６人だった。それがずらりと扉の前で彼女を威嚇するように囲んだ。</p>
<br />
<p>「あの…なんですか？」</p>
<p>とっくにやったことがバレてるとわかってはいたが、無意識に聞いてしまう。</p>
<br />
<p>男達の表情が、とぼけんなとばかりにさらに険しいものに変わったので、彼女はたじろいで後ろに下がった。下がりながら、なんとはなしに泳がせた視線の隅に、さっき聞くとも無しに聞いた酔っ払いらしき３人の人影がうつる。</p>
<br />
<p>「た、たすけて…！」</p>
<p>思わずそちらに向かって声をかけた。声は震えて叫びにならなかった。小さく押し潰（つぶ）したような声しか出ない。</p>
<br />
<p>それでも。人影の中心で屈んだ男が彼女のほうを向いた。もとは良い品だったのかもしれないが、泥で汚れたよれよれの「元」白いシャツに、馬皮と思しき茶色のズボンを履き崩したいでたちの男だった。髪は…かつら屋に売ったら高そうなハニーブロンドで、それを頭の後ろでひとつに結んでいた。</p>
<p>その男は、精気の無い虚ろで真っ青な顔をリリアナに向け、そして…逸らした。</p>
<br />
<p>声が届いたと思ったのは気のせいだったらしい。あるいは、奇跡的に聞こえたにしても関わり合いになるのが怖かったか。</p>
<br />
<p>（そうよね…それが普通だもん。）</p>
<p>リリアナは目を背けたその男に向かって思わず沸いた怒りを、無理やり押さえ込んだ。</p>
<p>誰だって自分が生きるので精一杯。私があの人の立場でも…きっと関わりたくはなかった筈だ。もしかしたら逃げ出してたかも。クライズのように腕が立ち、優しい男のほうが珍しいのだ。</p>
<br />
<p>「中に入って話そうや。」</p>
<p>にやにや笑って６人の大男達の一人がリリアナにそう言うと、彼女は諦め顔で、黙ってうなずき男達を中に招き入れた。</p>
<br />
<p>「いいんですかい？」</p>
<p>大男達を飲み込んで閉じられたドアを見つめながら、酔っ払いの中の一人が言う。気づかないふりをしていたが、その実その場にいる全員がその騒動には気がついていた。まぁ、あれだけ騒げば当たり前だが。</p>
<br />
<p>「うっせぇ。そう思うならお前らが助けてこい。」</p>
<p>輪の中心で屈んでそう言い返した金髪の青年はまだ嘔吐感が抜けきれてないらしく、屈みこんでお腹を押さえている。</p>
<br />
<p>「そんなぁ。」「無茶言わんといてくださいよぉ。」</p>
<p>なんて周りを囲んだ二人が口々に言うのを手で制して彼は、「だってめんどくせぇんだよ！！」</p>
<p>と非道この上ないセリフを、堂々と威張りくさって言い放った。</p>
<br />
<p>&gt;&gt;08へ続く</p>
<p><br />
<br />
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10541155892.html</link>  
      <pubDate>Fri, 21 May 2010 21:02:47 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 06</title>  
      <description><![CDATA[<p>
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 </p>
<br />
<br />
<p>「好きなようにくつろいでくれ。」</p>
<p>そう言って、キャプテン・レッドは船長室のドアを開けて二人を大げさな程の丁寧さで中に促（うなが）した。</p>
<p>慇懃（いんぎん）なのに…どこか馬鹿にしたその動作に、クライズは人知れず眉をひそめる。傍らのヴァインズはどうかとそっとうかがえば、顔にこそ出してなかったがその黒い瞳には剣呑な光が宿っていた。二人、レッドに抱いた第一印象にそう変わりはないようだった。</p>
<br />
<p>「聞いた話しによると、俺に荷の配達を頼みたいそうだが。」</p>
<p>赤ワインをグラスにそそぎながら、レッドはヴァインズに訊ねた。酒をそそぐその中指に、水晶の髑髏（スカル）の形をした指輪がはまってるのをクライズは目敏く見つける。細やかな細工のその技術は、このあたりではまったく見かけないものだった。艶やかな褐色の肌、珍しくも鮮やかな赤金の髪。この男は何処の生まれだろう。早くもわずかな興味がクライズの中で芽生える。と。じっと見つめていたら、その彼と視線が合った。てっきり黄緑かと思った彼の瞳の色が本当は琥珀に近いことに、そうしてようやく気づく。一方、レッドのほうも客が連れてきた女のその美しい容貌と、瞳の青さに内心感嘆を覚えていた。女には珍しい、その意思の強そうな眼光のきらめきも好ましかった。</p>
<br />
<p>「妻は酒は嗜まないもので。」</p>
<p>レッドが赤ワインの入ったグラスをクライズに手渡そうとするのを遮って、ヴァインズが代わりにそれを受けとる。</p>
<br />
<p>「そうか。」</p>
<p>クライズを見つめたまま、レッドはヴァインズに相槌（あいづち）を打った。グラスを手からとられたことにも全く気にはならない様子だった。クライズもまた、レッドに魅入られたように視線を外さない。</p>
<br />
<p>ヴァインズはわざとらしく一つ、咳払いをして二人の意識を自分のほうに戻させた。</p>
<br />
<p>「品物は装飾品の入った宝箱が一つ。スペイン領に近い港まで運んでもらいたい。」</p>
<p>詳しい場所はここに。そう言って懐から羊皮紙の海図を取り出して見せる。</p>
<br />
<p>「なぜ自分で運ばない？ヴァインズ卿は見事な船団をお持ちと風の噂にうかがったが。」</p>
<p>ようやく視線をクライズから外し、レッドはヴァインズのほうに顔を向けた。</p>
<br />
<p>「別の仕事でちょうど出払ってまして。あなたなら相場の７０％で運んでくださると聞いた。」</p>
<br />
<p>レッドはヴァインズから海図を受け取ると広げてマーカーのついた港を素早くチェックした後、思案げな顔でこう言った。「相場の８５％なら受けよう。」</p>
<br />
<p>それを聞いて、ヴァインズの眉があからさまに寄る。（さすが演技派！）クライズは口元を扇に隠して、にんまりとほくそ笑んだ。本当ならこんな依頼にはなんの価値も無い。だが、ヴァインズのその表情はどう見ても真剣に思案してる風に見える。</p>
<br />
<p>「相場の７５％では？」</p>
<p>ようやくヴァインズが口を開いた。すかさずレッドが答える。「８０％」</p>
<p>それ以上は譲らない。そんな表情の彼に、ヴァインズははじめて苦笑いを見せた。「いいでしょう。では８０％で。」</p>
<br />
<p>交渉成立。二人握手を交わすのをどこか白々しくみながら、クライズはヴァインズの袖をチョイチョイっと引っ張った。これも打ち合わせのうちだった。</p>
<br />
<p>「どうしたね？」</p>
<p>ヴァインズが身を屈めてクライズのほうに耳を寄せる。二人の身長差は頭一つ分ぐらいあったから。</p>
<br />
<p>何やら妻女に耳打ちされているその様子を、レッドは軟らかな眼差しで見つめる。貴族の夫婦というものは、親の取り決めた政略婚が多い為うまくいってる風を装いながらその実冷えきってる関係が多い。そんな時代に、妻の意見を傾聴する男は大変珍しく、またレッドには好ましく思えた。あるいは…妻女がかなりの切れ者なのか。視線はついつい青いドレスの妻女のほうへと向かってしまう。</p>
<br />
<p>話しを聞き終わったらしく、「そうするよ。」妻にそう言い自分に向き直ったヴァインズに、レッドもまた視線を戻した。</p>
<br />
<p>「妻が、航海中の保管方法が気になると申しまして。じつは荷は遠い地に独り嫁いだ、妻の友人に宛てた品で。妻の一等お気に入りの宝石コレクションの一つなのです。」</p>
<br />
<p>なるほど。レッドはうなずき、彼の傍らで伏せ目がちのクライズに微笑みかけて言った。</p>
<p>「ご心配なく。貴重な品々を保管する場所は、この船も完備しておりますので。」</p>
<br />
<p>すかさずそれに、ヴァインズが口を挟む。</p>
<p>「宝石は潮風に大変弱い。そのへんは大丈夫なのでしょうか？」</p>
<br />
<p>ヴァインズのほうを向き、レッドは自信ありげにうなずいた。</p>
<p>「完璧です。お任せを。」</p>
<br />
<p>レッドの表情とその言葉に、クライズはしてやったりと言わんばかりに目を細めた。それはほんの一瞬の出来事で、レッドはおろかヴァインズさえ気づくことは無かった。</p>
<br />
<p>帰ろう。そう囁く為、ヴァインズの袖をクライズが引っ張ろうとしたその時だ。突然横殴りの突風を受けて船が激しく揺れた。その部屋にいた義眼の男とヴァインズは倒れそうになり、壁や机に思わず手をつく。その中でクライズとレッドだけが飄々と立っていた。その様を、レッドは見逃さなかった。</p>
<p>クライズが彼の視線に気づいてハッとした時にはもう遅く、二人鋭く視線が絡み合う。咄嗟に、足がおぼつかない風を装って傍らのヴァインズにしがみついたが、果たして誤魔化せたものか。まったく予想してなかった大きな揺れに、咄嗟に身に染み付いたものが出てしまったのだ。</p>
<br />
<p>その後、心配したが特に呼び止められることは無く、二人無事に帰る旨を告げて船長室をあとにできた。ただ、クライズはその背中にレッドからの痛い程の視線は受けたが。</p>
<br />
<p>背後で扉を閉めて、小声でヴァインズがクライズに囁く。</p>
<p>「どうします？もう少し船員に探りを入れますか？」</p>
<br />
<p>それに対し、クライズはにやりと笑い、「必要ない。」言って、扇を胸元でパチンと閉じた。</p>
<p>そのあと、ヴァインズの腕をとり船の出口へと促し歩き出す。歩きながら、クライズは子供のようにはしゃいだ声で彼に耳打ちした。</p>
<br />
<p>「狙うはワイン貯蔵庫。ブツはそこだ。」</p>
<br />
<p>&gt;&gt;07に続く</p>
<br />
<br />
<p><img alt="おにぎり" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/068.gif" width="16" height="16" /> pick up BL <img alt="ぶーぶー" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/007.gif" width="16" height="16" /><img alt="DASH!" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/178.gif" width="16" height="16" /><br />
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10540706109.html</link>  
      <pubDate>Fri, 21 May 2010 14:07:03 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 05</title>  
      <description><![CDATA[<p>
 <p>ﾗﾝｷﾝｸﾞUPに協力してね<img alt="キラキラ" src="http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/123.gif" width="16" height="16" /></p>
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 </p>
<br />
<br />
<br />
<p>二人がそこで待つよう指示された部屋は、大きな円卓（えんたく）のテーブルが置かれた広い一室だった。地図や羅針盤（らしんばん）、地球儀などが置かれてることから、どうやら航海の司令室か作戦会議室に使われているようだ。</p>
<p>ざっと部屋を見回して、調度品のセンスの良さにクライズは思わず口笛を吹く。</p>
<p>今は、部屋の中にはクライズとヴァインズの二人だけで、ここまで案内してきた男は副船長を呼んでくると言って出て行ったばかりだ。</p>
<br />
<p>「やはり、そう易々（やすやす）と船長室には通さないか。」</p>
<p>クライズが苦笑してヴァインズに耳打ちする。ヴァインズもまた頷（うなず）いて微かな笑みを漏らす。</p>
<br />
<p>「まぁ、目当てのものが船長室にあるとも思えませんしね。」</p>
<p>かまわないでしょう。そう言って、彼はクライズに視線を流す。上から下へ。隠そうともせずジロジロと。</p>
<br />
<p>突然、近距離で値踏みするように見られてさすがのクライズもたじろいだ。</p>
<p>「なに？ルー。」</p>
<p>どこかおかしい？女装は久しぶりだし自信がいまいち…なんて呟きながらクライズ自身も自分の足元や胸元をチェックしだした。それを片手で制してヴァインズはまったく別のことを口にする。</p>
<br />
<p>「いい加減、そのルーって呼ぶの止めませんか？」</p>
<p>まるで小さい子供か女のようだ。そんなことをぼやく。顔は不機嫌そうだが、大して本気で嫌がってる風は無い。だが、それでもクライズは今まで一度も彼の口からそんなこと聞いたことが無かったのでいささか驚いた。</p>
<br />
<p>「じゃあ、ルーのことを、これからなんて呼べばいい？」</p>
<p>気は乗らなかったが一応訊ねてみた。</p>
<br />
<p>「ルブランと。」</p>
<p>クライズの頬を、その指でそっとなぞりながら囁くように言う。ヴァインズのその囁きは、まるで甘い睦言のように危険な色香を含んでいた。</p>
<br />
<p>（長ぇ指だなぁ。）</p>
<p>彼の指が自分の頬をとらえる瞬間、クライズはそんな感想を持つ。</p>
<br />
<p>だが。彼の口から「ルブランと呼んで欲しい。」というセリフを聞いた途端に吹き出してしまった。</p>
<br />
<p>「俺がルーをルブランて？あー…むりむり。」</p>
<p>豪快に手を振って笑いながら否定した。むっつりと黙りこんでへそを曲げてしまった風な相手に、ひとしきり笑った後で、真顔になり言った。</p>
<br />
<p>「俺の中では、おまえはずっとルーだよ。会った頃のままの、小さくて…けど誰より勇ましくて努力家なルーだ。」</p>
<p>クライズの脳裏に、むきになって自分の後についてくる小さなヴァインズの姿が浮かんでいた。あの頃はヴァインズという姓じゃなかったし、犬や猫の死骸を見るだけで涙ぐむような優しい子供だった。それが今では平気で盗品を右から左へ流し、必要なら貴族の位を得る為に銃の引き金さえ引く。そして…そんな風に変えてしまったのは紛れも無いクライズ自身だということもわかっていた。そうしなければ…とうにあの「小さな子供」は飢えて死んでいただろうから。（仕方なかったんだ。）そう思う反面で、時々これで良かったんだろうかと考える日があるのもまた事実だった。</p>
<br />
<p>（また…ですか。）</p>
<p>自分を見返してくる青い両の目に、ヴァインズは目を細めた。何故だろう。時々クライズは、自分に辛そうな眼差しを向けてくる時がある。まさに今この時のように。そのたびに、よくわからない苛立ちが胸にこみ上げてくるのだった。本当のところの、彼の本心は彼自身にもよくわからないが…クライズの考えならだいたい読める。おそらくはヴァインズが行ってきた悪事の数々を自分の影響だとでも思ってるのだろう。</p>
<br />
<p>（そんなこと…思う必要はないのに。）</p>
<br />
<p>自分に、もともと残酷な面があったことは誰が知らなくてもヴァインズ自身が自覚していた。ペストで死んだ母親の、半分腐乱した体に取り縋って何日も泣き暮らすうちに…自分の中から人としての大事な部分がきっと、母親と共に死んだのだ。そして何より、家族全て死に絶えた家に一人の見知らぬ少年が突然飛び込んできて、自分の腕を掴んで連れ出そうとしなければ、その少年の青い瞳に心が熱くなる何かを感じなければ、あのまま…自分も母親と共に確実に体ごと腐っていくだけだったのもわかっていた。</p>
<p>だから…</p>
<br />
<p>（だから。そんな目はしなくていいんですよ、ライ。）</p>
<p>今の私はあなたの為に生き…そして、必要ならあなたの為に死ぬ。だから、気に病まないで欲しいと…心から祈るのだけれど。きっとその心には言うだけでは届かない。</p>
<p>それがヴァインズには辛かった。どう言えば、どう示せば、それを言葉ではなく心で彼が理解してくれるのか。きっと言葉で伝えるだけでは尚更苦しめてしまうだけ。届かない思いに彼もまた、もう何年も苦しんでいた。手近な女…時には公爵夫人を戯れに抱いて心の平穏を求めても、その胸の苦しみが和らぐことは無く。クライズ自身を抱きしめたなら和らぐだろうかと…思い始めたのはいったい何年前からだったろうか。</p>
<br />
<p>二人それぞれの想いに捕らわれて見つめあっていたが、部屋の扉が外側から大きな音で叩かれて我に返った。</p>
<br />
<p>「どうぞ。」</p>
<br />
<p>ヴァインズが答えると、扉が開き、先ほどの案内人の義眼の男が顔をのぞかせた。</p>
<br />
<p>「すみやせん。副船長ですが、飲みに出たまま、まだ戻っておりやせん。」</p>
<p>代わりに別の者をお連れしやした。なんてすまして言うので、ヴァインズが怒りを押し殺して口を開く。</p>
<br />
<p>「どういうことだ、こちらは事前に約束をとりつけてた筈だぞ。」</p>
<br />
<p>なんせねぇ、海賊には時間の約束なんて合ってないようなものなんでさ。その日暮らしなもんでねぇ。なんて男は言い訳じみてもごもごと口の中で言ったあとで、一転姿勢をただしてはっきりとこう言い放った。</p>
<br />
<p>「ご紹介致しやす！我がレッドサーペンス号船長、キャプテン・レッド・ストライダーです！」</p>
<br />
<p>… … ！！</p>
<p>それにはさすがに二人共意表を突かれて驚いた。レッド・ストライダーといえば、ここ最近この海域で３本の指に入ると言われてる大物の海賊で、たかが一度や二度の訪問でお目にかかれるなんて予想もしていなかったからだ。</p>
<br />
<p>やがてひょっこりと、扉の向こうから長身の男が入ってきた。風体は…失礼だが、とても大物の海賊には見えなかった。てっきり、がっちりと肩幅の張った大男が出てくるものと想像してたからかもしれない。想像のその男に比べれば、実際に出てきた男はまるで貴族か役者のようだ。ただ、その独特の風貌と華やかさに度肝を抜かれた。</p>
<br />
<p>肌は漆黒に近い褐色で、顔は男くさいが彫りが深く見惚れるほどに野性的な美しさがあった。だが何より一番に目に焼きついたのは、その燃えるような長い赤毛。いや、船室の窓から漏れる夕日の光を受けてきらきらと輝くあの色はストロベリーブロンドに近いだろうか。そう思った瞬間、強烈なデ・ジャ・ブに襲われてクライズは眩暈がした。燃えるようなストロベリーブロンドの髪をした女を、彼は今までの生涯でただ一人だけ知っていた。母親だ。</p>
<br />
<p>とっさに、青ざめた顔を悟られないようクライズは手持ちの白鳥の羽つき扇（おうぎ）で顔を隠した。</p>
<br />
<p>「このたびは、うちの馬鹿野郎が失礼した。話しなら俺が代わりに聞こう。」</p>
<p>そう言って、キャプテン・レッドはひどく人好きのする爽やかな笑顔で二人に笑いかけた。</p>
<br />
<p>&gt;&gt;06に続く</p>
<p><br />
</p>
<p><br />
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10540043371.html</link>  
      <pubDate>Thu, 20 May 2010 23:37:03 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 04</title>  
      <description><![CDATA[<p>
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 </p>
<br />
<br />
<p>太陽が西の空を赤く染める頃、１台の漆黒の３頭馬車が港入り江で止まった。あいも変わらず入り江は商船、海賊船入り乱れて停泊しており、その乗り組み員達でごった返していた。</p>
<p>海軍以外は全て受け入れる。それがこの島、この町の独自のルールだ。海を旅する者全てにひと時の息抜きを。それがこの町を築き上げた12人の創始者達の想いでもあったから。その思念は現在も変わらず受け継がれており、入り江での揉め事はご法度だった。</p>
<br />
<p>「旦那様、ご指示の場所に到着致しました。」</p>
<p>馬車の御者台に座る初老の男が後ろを振り返って告げると、車内のドア越しに応じる声があった。</p>
<br />
<p>「ご苦労だった。」</p>
<p>深く低く染み渡るように静かに響くバリトンの声には、短い中にも威厳を含んでいる。その声の主はヴァインズだ。やがて御者（ぎょしゃ）がドアを恭（うやうや）しく開くと、彼はステッキを片手に出てきた。その頭には貴族にお決まりの宮廷かつらをまとっていたが、それもまたよく似合っていた。</p>
<br />
<p>ひととおり入り江を見渡すと、連れがいたらしく彼は車内に向かって声をかけ手を差し伸べた。</p>
<p>「おいで。着いたよ。」</p>
<p>エスコートしようとするそのしぐさから、連れは婦人のようらしい。中から白く細い手が伸び、ヴァインズの手にそっと添えられ、続いて出てきたのは青いドレスを纏（まと）った目も眩（くら）むような美しい女だった。</p>
<br />
<p>「行こう。目的のジーベックはすぐそこだ。」</p>
<p>足元に気をつけて。そんな言葉まで添えて彼女を優しくエスコートする主人の様子に、内心御者は驚いていた。公爵夫人の前でさえ、ついぞこんな丁寧な態度はみたことが無い。今までにも何度かこの女性との外出に同行したが、いまだ女性の身分等何も知らされてはいなかった。よほどの要人なのか、それとも主人が本気で熱を上げてる愛人なのか。御者的にはどうも後者のように思えてならなかった。彼女を見るヴァインズの優しい眼差しを見れば勘の良い者なら誰でも気がつくだろう。</p>
<br />
<p>「お前はここで待て。」</p>
<p>御者に告げ、ヴァインズは片方の腕を自らの腰に当てた。彼女が腕をとりやすくするためだ。その腕に馴れた手つきで女は腕を絡ませ、二人並んで歩き出した。</p>
<br />
<p>「そのドレス、相変わらずよく似合っていますよ。」</p>
<p>ヴァインズが目線は前に向けたまま、そっと頭だけ傾けて女の耳に囁きかけると、彼女は眉をひそめて複雑そうな顔をした。</p>
<br />
<p>「おまえは相変わらず悪趣味だ。」</p>
<p>小声でヴァインズにだけ聞こえるように囁かれたその声は、なんと。まぎれもなくクライズのものだった。</p>
<p>口元にうっすらと微笑を浮かべてヴァインズはとくに何も答えなかったが、あきらかにその表情は楽しげだ。</p>
<br />
<p>彼が言ったとおり、目的のジーベック様式の船はほどなくして見つかった。このあたりに停泊する船の中でもひときわ大きく、見事な船だった。その船首を飾る、裸体に巨大な大蛇を絡ませた女の像が印象的だ。何故だろう、その女の顔はどこか…。</p>
<br />
<p>「ライ。」</p>
<p>像に見惚れて思わず足を止めてしまった。ヴァインズに呼ばれ、クライズはようやく今の状況を思い出してハッとする。</p>
<p>「すまない。」</p>
<p>小声で謝ってヴァインズのほうに向き直った。その様子に一瞬いぶかしげな表情は浮かべたものの、とくにヴァインズは咎めなかった。二人で船に荷を積む作業をしてる荒くれ者達のほうに歩を進めて声をかけた。</p>
<br />
<p>「書面で来る旨を告げてたヴァインズだが。」</p>
<br />
<p>その一言で、油と垢まみれの顔をした男達が手を止めた。</p>
<p>「ああ、あんたがヴァインズの旦那か。話しは通ってやすぜ。」</p>
<br />
<p>男達のリーダー格らしい男がそう答え、船の中を指し示した。</p>
<p>「副船長が話しを聞くそうです。案内しやす。」</p>
<p>男が言い、積荷をほかの者に任せると、背を向け歩き出した。男は左足を少し引きずるようにして歩いた。船の上がり板の前で歩を止め、ヴァインズのほうを見た。</p>
<br />
<p>「そちらのご婦人もご一緒で？」</p>
<br />
<p>じろり。左目は義眼なのか、右目だけで男はクライズ…いや、女のほうを見た。</p>
<br />
<p>「そうだが。何か問題でも？」</p>
<p>咄嗟に、ヴァインズはクライズを背に庇うようなしぐさを見せ男に聞き返す。おそらく無意識なのだろうが、本当の女にするようなそんな態度が、クライズはもうずっと以前から面映（おもはゆ）かった。だが、今は女になりきらなくてはならない。黙ってそっと目線を下に落とすしぐさをした。それだけだ。男の格好だったら、迷いもなくヴァインズの肩を掴み逆に前に出ていたことだろう。</p>
<br />
<p>「いや。船に女は乗せないのが決まりなもんで。」</p>
<br />
<p>海の女神は愛は深く情熱的だが、そのぶん気性が激しく嫉妬深い。旅の航海に女を同伴させると必ずその怒りを買い災難に見舞われる。それが船乗り達の間で交わされてきた伝承だった。</p>
<br />
<p>「それは私も知っている。だが、停泊中は問題ないと聞いたことがあるが？」</p>
<p>頼むよ、妻なんだ。そうヴァインズは付け足した。さすがにそれには異を唱えようとしたクライズだが、ヴァインズが茶目っけたっぷりにそっとウインクを投げてきたので、何も言わず言葉を飲み込んだ。なにより、人前でうかつに喋るとその声で男だとバレれしまう。</p>
<br />
<p>「まぁ、いいでしょう。ではこちらへ。」</p>
<p>義眼の男は少し思案した後で頷く。</p>
<br />
<p>あらためて中に促され、ヴァインズとクライズは二人で同時ににっこりと微笑みを返した。</p>
<p><br />
&gt;&gt;05に続く </p>
<p><br />
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10539806469.html</link>  
      <pubDate>Thu, 20 May 2010 12:17:03 +0900</pubDate> 
    </item>  
    <item> 
      <title>旅立ち 03</title>  
      <description><![CDATA[<p>
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<p>「…っていうのが以上、経緯（けいい）なんだ。」</p>
<p>話し終えて、クライズは目の前の男に視線を向けた。</p>
<br />
<p>モノクル（片眼鏡）をかけて、その短い黒髪をびっちりと後方に撫で付けた鷲鼻の男は、豪華な皮椅子に深く座りなおしながら、鋭い視線でクライズを見返す。</p>
<p>そこは昼日中だというのに薄暗く、各所に置かれたランプの炎だけが唯一の明かりという部屋。</p>
<p>明かりのゆらめきに映るのは、四隅の棚に乱雑に置かれた骨董品と思しき品々やテーブルや机に置かれてる数多くの羊皮紙の巻物であり、この界隈で常に暗い噂の絶えないまさに、『古売屋ヴァインズ』の店の中だった。</p>
<br />
<p>「リリアナを腕の良い医者にかけてやりたいんだけど。」</p>
<p>男の視線をまっすぐに見つめながら、壁に寄りかかったままクライズはひょいと肩をすくめてみせた。</p>
<br />
<p>古売屋ヴァインズの店主ルブラン・フォン・ヴァインズ子爵といえば、バックには今最も権力を持つと言われる東インド会社がついており、一説にはそこから暗殺等の依頼も受けているという話もあり、海賊達さえ不可侵を決め込んでるほどの裏の大物だった。その相手から真っ向から睨まれて、クライズは少しも身構えず、親しげな微笑さえ向ける。二人は旧知の仲なのか。</p>
<br />
<p>やがて。ヴァインズ卿の口からあきらめともつかないため息が漏れた。</p>
<p>「わかりました。腕の良い外科医を手配すればいいんですね？」</p>
<br />
<p>ナイス！叫んでクライズは大げさに指を鳴らした。</p>
<p>「その通り！さすが話が早くてたすかるよ、ルー。」</p>
<p>顔に傷が残らないようにしてやりたいんだ。そうクライズは後に続けた。その面差しはひどく優しげだ。リリアナのことを思い出しているのだろうか。</p>
<br />
<p>ヴァインズは彼のその表情の変化を見逃さなかった。</p>
<p>「あなたはいつもリリアナに優しいですね。いや、娼婦全員に…というべきか。なぜです？」</p>
<p>手元の書類に目を通す風を装って、できるだけさりげなく聞いてみた。だがここ最近、いやずっと前から内心気になってることの一つだった。</p>
<br />
<p>「そうか？」</p>
<p>そうかもな。そう言ってクライズは口元を歪めた。その視線が部屋の隅で揺れるランプの炎に向けられる。</p>
<p>「俺のおふくろも娼婦だった。しかも、一番最低ランクの。」</p>
<p>もう話したっけ？そう聞かれ、ヴァインズは首を振ってみせた。</p>
<br />
<p>「初耳ですよ。」</p>
<p>彼とは十の歳からつるんでいるが、家族の話はあまり聞いたことがない。７つの時に母親は死んだとだけ、いつだったか打ち明けられていた。父親はもとからいなかった。きっとおふくろ自身、誰の子かわかんなかったんだろうよ。クライズが自嘲めいてそう言うので、それ以上何も訊ねることができなかったのだ。</p>
<br />
<p>「見た目はひどく綺麗な女だったんだが、気性が荒かった。その上酒が手放せなかった。」</p>
<p>クライズは幼い頃共に過ごした母親のことを思い出す。まるで炎のような女だった。一瞬なら鮮明なその鮮やかさだけが印象に残る。だが、長い時間を共に過ごす相手には、一生消えないような火傷をその心に刻む。そんな女だった。クライズの心にも、いまだうずいて消えない傷があった。</p>
<p>その傷の痛みが、娼婦達の幸せそうな笑顔を見ると少しだけ和らぐように思えた。それがたとえつかの間の幻のような幸せを掴んだ笑顔だとしても。理由はそれだけだった。</p>
<br />
<p>母親の幻を振り払うようにランプの炎から目をそらし、クライズはヴァインズに視線を戻した。</p>
<p>「もう一つ頼みたい、ルー。今日会った子供の件で。」</p>
<br />
<p>それに対し、ヴァインズはうなずいて応じる。だがその顔は一転、苦虫をつぶしたようにゆがんでいた。</p>
<p>「まったく。これでいったい何度目ですか。うちは孤児院じゃないんですからね。」</p>
<p>言いながら、椅子から立ち上がり、クライズのほうに歩を進めた。その一連の動作がひどく優雅で、クライズは一瞬目を奪われる。その身にまとう宮廷服もよく似合っている。それを悟られぬよう視線を反らしながら、彼はごめん、と謝った。だが、その顔に悪びれた様子は全く無い。</p>
<br />
<p>「女子供ばかりに優しくしてないで、たまには私にも優しくしてもらいたいものです。」</p>
<p>ため息のように漏れたヴァインズの呟きに、驚いて視線を戻した時にはもう遅く、不自然な程に距離をつめられていた。息が鼻にかかる距離で彼の視線にまともに晒（さら）され、さすがにクライズも動揺する。</p>
<p>「あの…ルー？」</p>
<br />
<p>（ああ。やはり海のようだ。）</p>
<br />
<p>距離を詰められ、動揺しつつもそれでも視線を外さずまっすぐ見返してくるクライズの揺れる青い瞳に、ヴァインズはそんな感想を持つ。思えば、この瞳に十の歳からずっと捕らわれていた。</p>
<br />
<p>「ライ。どうか…」</p>
<p>どうか、拒まないで。囁（ささ）きかけて、青い瞳に吸い込まれるように彼に口付けた。初めての行為だったが、クライズは拒まなかった。ついばむようなキスだけをするつもりが、つい夢中になって深くなる。彼の舌を捕らえたところで、控えめに止められた。</p>
<br />
<p>「駄目だ、ルー。それ以上は。」</p>
<p>ヴァインズの胸に手を置き、穏やかに拒みながらクライズは囁いた。その青い瞳は静かだが、逆らえない鋭さがあった。ヴァインズは仕方なくその身を引いた。</p>
<br />
<p>「すみません。」</p>
<p>身を引きながら謝ると、クライズは首を振った。本当のところ、ヴァインズの気持ちにはずっと前から気づいていた。気がついていながら、気づかないふりをしてきた。それは…ヴァインズもうすうす感づいてる筈だ。</p>
<br />
<p>「医者と子供の件は承知しました。代わりに、といってはなんですがこちらも一つ仕事を依頼したい。」</p>
<p>話しを反らすようにヴァインズは言い、クライズもうなずく。</p>
<p>「急ぎで注文が入りました。品はこちらです。」</p>
<br />
<p>丸まった一枚の羊皮紙が投げ渡され、クライズはそれを片手で受け止め、広げて目を通す。通しながら、眉を寄せた。「まじ？」</p>
<br />
<p>彼のいつに無い弱気な表情と問いかけに、ヴァインズは喉を震わせて笑う。</p>
<p>「あなたの腕に、期待していますよ。」</p>
<br />
<p>&gt;&gt;04へ続く。</p>
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</p>]]></description>  
      <link>http://ameblo.jp/blaoyama/entry-10539256644.html</link>  
      <pubDate>Wed, 19 May 2010 22:07:03 +0900</pubDate> 
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